ラピュタの飛行石か? 今は無き日本の秘境「暗黒のトンネルで青く光る石」が美しすぎた…!

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 そこでは、おびただしい数の青く光る石が地底の空間を埋め尽くしていた。中央を横切る暗黒帯には大粒の結晶がいくつも並んでいた。小さな無数の青い粒が、まるで銀河を流れていく星々のように青く彩っていた。赤紫色に怪しく光る石は方解石。桃色の光を放つスレンダーでオシャレな結晶はリン灰石という蛍光鉱物だ。光の全くない坑道で石たちが光のオーケストラを披露する――。

 これは山口県岩国市にある喜和田鉱山というタングステン鉱山の坑道の中のようすだ。人気アニメ作品「天空の城ラピュタ」で主人公の2人が古い鉱山の坑道に逃げ込んだとき、壁や天井にあったたくさんの飛行石が青く光りだす場面があった。喜和田鉱山の抗道は、ラピュタの世界を思わせる幻想的な光景だった。

 私がこの鉱山を初めて訪れたのは2004年7月のことだった。鉱山を管理していた長原正治鉱山長(当時)に案内されて坑道に入った。その時、操業を終えてすでに12年もの年月がたっていたため、坑口の前は草ボウボウ。木々の枝は伸び放題で荒れ果てていた。そんなまるで熱帯のジャングルのような所に、薄気味悪い坑道の入り口があった。まるで何かが潜んでいそうだった。鉱山長が入口の扉を開けると、中から冷たい風が勢いよく噴き出してきて、押し返されそうになる。朽ち果てた木枠の中にヘビがいそうで、背筋に冷たいものを感じながら下をくぐった。

 真っ暗な坑道を懐中電灯を片手に進む。所々でまるで滝のように水が落ちていた。赤くさびた線路と腐った枕木の上を700m歩く。そこから真上へのびる30mのはしごを登ると鉱体と呼ばれる鉱石を採掘していた場所に出る。

 そこは第11鉱体と呼ばれる場所で世界一高品質のタングステン鉱石を産出した場所だ。長原鉱山長が紫外線ランプを点灯すると坑道の天井や壁の中にある石がいっせいに光りだした。

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