サンタクロースは悪魔の化身か?魔女が語る「クリスマスの都市伝説・神話・宗教」

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 今年もクリスマスがやって来た。クリスマスといえば誰もが思い浮かべる存在、それがサンタクロース。言うまでもなく、真っ赤な衣装に身を包み、トナカイのソリに乗る老人だ。しかし今、改めて考えてみてほしい。イエスはパレスチナで誕生したユダヤ人だが、サンタクロースは北欧からやって来るとされている。よく考えてみれば、イエスの降誕を祝うクリスマスと、サンタクロースに接点など無いように感じないだろうか。そもそも、彼は何者なのか? 一体なぜ、サンタクロースはクリスマスを代表する存在たりうるのか?

 実は、そもそもイエスの降誕が12月25日だったというのは、後付けの話のようだ。実際の誕生日については諸説あるが、いずれも確固たる証拠が無い。何しろ新約聖書に記述自体が存在しないのだ。つまりクリスマスという行事は、イエスの誕生日とは無関係に、キリスト教がローマ帝国に広まる過程で、西ヨーロッパのゲルマン民族やケルト民族が信仰する多神教や伝統と融合してできたものだったのだ。


■「サトゥルヌス」と「オーディン」がサンタクロースの起源?

 古代ローマ人の風習では、12月17~23日にかけて、「土星神サトゥルヌス」を奉る「サトゥルナリア祭」が行われる。時期はクリスマスと近いが、実はサトゥルヌスの風貌も、長い髭のある老人であり、サンタクロースに似ている。名前の響きが酷似している点については、指摘するまでもない。また、サトゥルナリア祭でも、ヒイラギ・ヤドリギ・ユールの丸太を使用したり、祝い酒を大杯で飲む慣習があった。つまりサトゥルナリア祭こそが、クリスマスの起源と考えられるのである。

 ローマ帝国は広大な領土を統治する必要性から、当初迫害していたキリスト教を国教に定め、そこにゲルマン民族やケルト民族の古来からの風習を残しつつも、キリスト教に名目を書き換えていった。そしてサトゥルナリア祭は、当時のローマにあった“太陽の誕生日を祝う”冬至の祭が行われる12月25日と合わせて、キリスト教に則したクリスマスという行事として慣習化したのだ。

 さらに、多神教だったゲルマン民族やケルト民族の神話には、もともとサトゥルヌスとよく似た神も存在する。「オーディン」という、やはり長髭をした老人の神だ。オーディンは8本足の魔法の馬やトナカイが引くソリに乗って空を駆けまわり、煙突から家に入り、贈り物を届けるとされる。これだけでも、サンタクロースの伝承に極めて近いことが分かるが、現代のサンタクロースのソリを引くトナカイの頭数は、8頭だったり9頭だったりする。これは当初8頭だったというのが通説で、後の世に「ルドルフ」という“赤鼻のトナカイ”が加わって9頭になったと考えられている。本来、オーディンの馬の数と、サンタのトナカイの数は同数なのだ。このような理由から、サンタクロースの起源には、オーディンの要素も強く影響したことが考えられる。ここで、サンタクロース=サトゥルヌス=オーディンという図式が浮かび上がってくるのだ。

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