ウンチ移植でデブがうつった!? やはり「デブ菌」は存在するのか?
「肥満」を人からうつされるなんて最悪だ。しかも、移植したウンチから。そんな想像しただけで胸糞が悪くなる悲劇が、あろうことか現実に起こっているのだ。
■“ウンチ移植”は成功したのだが…
「BBC」の記事より「クロストリジウム・ディフィシル」という細菌をご存じだろうか? 抗菌薬の投与などで腸内の常在細菌バランスが崩れると増殖し、感染症を引き起こすことがある悪玉菌だ。
これまでの治療としては、毒素吸着剤などを使い、腸内の細菌バランスを正常に回復させる方法があったが、近年になり、かなり斬新な治療法が登場している。それは「糞便注腸法」――。
つまり、健康な人のウンチを感染症の人の腸内に浣腸カテーテルなどで流し込むやり方だ。いうなればプロバイオティクス(生菌)ヨーグルトを腸に注射するようもの。少々荒っぽく聞こえるかもしれないが、これにより善玉菌を腸内で増やすことができるという、欧米では広く実施されているれっきとした治療法なのである。
そんなウンチ移植だが、先日、驚愕の副作用が報告され話題となっている。再発性のクロストリジウム・ディフィシル感染症に罹患した32歳の女性は、下痢を繰り返し、かなり強い抗生物質を投与しても効果が無く、吐き気、腹痛で苦しんでいた。そこでとうとう、ウンチ移植に踏み切ることを決心。移植には16歳になる実の娘のウンチを使うことになった。幸い治療は成功、これで一安心と思ったのだが……。
■「デブスイッチ」がオンに?
「患者は1年後に戻ってきて、かなりの体重増加をクレームしたんです」と語るのは、治療に当たったブラウン大学メディカル・スクールのコリーン・ケリー博士だ。博士は2月7日付「BBC」電子版で、女性患者がウンチ移植後、全く痩せなくなり、医師の指導のもとでプロテインダイエットや運動も試みたが、身体の「デブスイッチ」が入ったみたいに太り続けてしまったと述べている。26だったBMIは、移植16ヵ月後に33まで増加し、3年後には34.5となった。その間体重は15kg増でピタリと動かない。しかも便秘と原因不明の消化不良に悩まされているという。
ウンチ移植前の彼女は一度も太ったことが無くスマートだったが、ドナーである娘さんは元々かなり肉付きがよく、母親の手術後もブクブクと太りだしていたというのだ。
そこで「どうやら、娘の腸内菌と関係があるのでは」と調査に乗り出したのが、アメリカ・ロードアイランド州の総合病院を中心とする研究グループ。彼らは感染症の国際医療誌「Open Forum Infectious Diseases」に実験の結果、肥満マウスからフン移植を受けた正常体重マウスは、脂肪量が著しく増えたと報告している。
一方、レディング大学のアンドレアス・カラザス博士は、「マウスと人間とでは別の有機体」として、腸内菌と肥満との関連性はいまだ不明としている。
いずれにしても、このように突然肥満体になってしまった患者が現れたこともあり、ケリー博士は「念のため今後は一切、ふくよかなドナーは使わない」と発表しているのだが……。
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