耳の付け根に「小さな穴」があったら魚のエラの名残! 理学博士が生物の教科書の“致命的ミス”も指摘

耳の付け根に「小さな穴」があったら魚のエラの名残! 理学博士が生物の教科書の致命的ミスも指摘の画像1画像は、「BUSINESS INSIDER」より引用

――科学分野だけではなく、オカルト・不思議分野にも造詣が深い理学博士X氏が、世の中の仰天最新生物ニュースに答えるシリーズ

 一部の人々には、耳の付け根の前上方に、まるでピアスホールのような小さな穴が開いている。これは「先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)」と呼ばれる生まれつきの良性疾患で、奥はトンネルのような構造で軟骨まで伸びている。遺伝性と考えられており、発現率はヨーロッパ人で1~2%といわれているが、日本人では5~10%と比較的多くの人々に見られる。放っておいても問題ないが、炎症を起こしてしまう場合もあり、繰り返すようなら手術で取り除く方が良いともいわれる。


■衝撃の事実! 穴はエラの名残

 この小さな穴だが、実は胎児の頃の名残と考えられている。妊娠4週目くらいの胎児の頭部には、魚のエラ状になった部分(咽頭弓)が存在する。この部分は、後に顔面や頸部へと発達するのだが、その過程で本来ならば消えるはずの管が残ってしまったのが耳瘻孔である。つまり、この穴は私たちの祖先が魚だった名残であると考えることもできるのだ。


■理学博士が教科書の“致命的な間違い”を指摘

 さて、この話についてエルンスト・ヘッケル(ドイツの生物学者。1834~1919)が唱えた「個体発生は系統発生を繰り返す」という反復説を思い出しますね、と生物学に詳しい理学博士X氏に水を向けた。

 反復説については高校の生物の時間に勉強して、覚えている方も多いかもしれない。受精卵が発達して成体の形へと複雑化する過程では、かつてその生物が辿った系統学的な進化を繰り返しているという学説だ。理科や生物の教科書で、人間などさまざまな生物の胎児が並べられた図を見たことがあるのではなかろうか。だが、X氏からは意外な返答が返ってきた。

「胎児の発生が進化の過程を辿っているという学説は、世間でも広く知られていますが、とっくの昔に否定された古い学説ですよ」

 X氏によると、反復説はかつてもてはやされた時期もあったが、ヘッケルの捏造なども発覚し、現在では誤った説であると認識されているという。

「単に似ているだけです。正確に言うと、似ている部分だけを抜き出しただけです。この説を受け、多くの生物の発達について詳細に調べられました。確かに系統発生を繰り返しているように見える部分もあるけれど、実際にはそうでないことの方が多いというのが結論でした。どうして未だに教科書に載ってるのか不思議なんですよ」

 反復説のように分かりやすく、直感的に正しいと感じてしまうような説には要注意、X氏はそう語った。
(吉井いつき)

参考:「Mirror」、「BUSINESS INSIDER」、ほか

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