デジャヴ体験は我々に“あるメッセージ”を送っていたことが判明! 最新脳科学が解き明かす!
初めて見た光景のはずなのに、なぜだか既視感があって懐かしさや親しみを感じる――多くの人が経験しているといわれる「デジャヴ(Déjà Vu)」は、実に奇妙かつ魅力的な現象だ。デジャヴには前世や未来視との関連も指摘されており、一部には「パラレルワールドを覗き見ているのではないか」なんて仮説も存在する。だが、そんな神秘体験にも科学のメスが入りつつあるようだ。
■皆がデジャヴを体験してる?
たしかに神秘的だが、ちょっと怖くて、時に自分を「特別な存在なのかもしれない」と思わせてくれるデジャヴ。だが、デジャヴは決して稀な現象ではない。どのくらいの人々がデジャヴを経験しているかは調査によって異なるが、なんと30~100%(!)が一度は感じたことがあるという。このような結果になるのは、小規模なアンケート調査しか行われてないことや、デジャヴをどう定義するかによって返ってくる答えが変わるからだ。なお、多くの場合、デジャヴが起きる頻度は数週間~数カ月に一度程度だという。デジャヴ体験が割とありふれており、誰にでも起こる現象であることだけは確かなようだ。
さて、デジャヴを経験するのは若者が多いことが知られている。多くは6~10歳の間に最初のデジャヴを経験し、15~25歳頃に体験のピークを迎えるが、その時期を過ぎると減っていく。記憶に関する問題の多くが加齢とともに増加することを踏まえると、デジャヴは記憶の問題ではないと考えられる。また、若者以外でも側頭葉てんかんを患う人々はしばしば発作を起こす前にデジャヴを感じるという。そして、親しみの感情は脳の側頭葉によって示され、前頭葉でチェックされることもわかっている。どうやらデジャブは、側頭葉や前頭葉と密接に関連した現象であるようだ。
■デジャヴが起きる理由とは?
さて、デジャヴは若者に起きやすく、側頭葉や前頭葉に関連した現象であるならば、なぜそんな現象が起こるのだろうか? また、既視感に伴う深い親しみの感情は一体何か? やはり、デジャヴは前世の記憶か未来の予知ということなのか?
だが、研究者たちはこの問いに、少しずつ答えを見出しつつある。それは、デジャヴという体験が「誤った親密感を間違いだと知覚する現象」ではないかというものだ。つまり、本来感じるべきでないところで生じた親しみに対し、その(バグとでもいうべき)感情は間違っているとエラーメッセージが出ている状態、それがデジャヴだというのだ。成長に伴い、間違った親密感というエラーが出ても無視することを学ぶので、大人はデジャヴを体験しにくくなるというわけだ。
昔に比べてデジャヴを感じなくなったと思ったなら、それは前世を忘れたのではなく、未来視の能力を失ったのでもない。心や脳の成長や健康の証なのかもしれないのだ。
参考:「Scientific American」、ほか
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