決定版アジアの怪談本『亜細亜熱帯怪談』が面白すぎると評判! タイの幽霊物件に住む高田胤臣&丸山ゴンザレスインタビュー

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画像は「Amazon」より引用

 2019年の9月に『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)という本が発売された。

 タイを中心としたアジアの怪談がたくさん収録されている一冊だ。

 海外の怪談と言っても、図書館で資料を漁って得た情報をただ載せたわけではない。実際に、怪談の現場に足を運び、現地の人に話を聞き、生々しくルポルタージュしている。 ページ数も500ページ強という圧倒的ボリュームで、面白いと評判だ。

 執筆しているのは、タイに在住しながらライター活動を続ける高田胤臣さん。タイに移り住んで、もう20年近くになるという。氏には『バンコクアソビ』(イースト・プレス)、『タイ 裏の歩き方』(彩図社)など、タイのグルメや遊びを紹介した著書が多数ある。

 そして本書の監修をしているのはテレビ、雑誌、書籍などマルチに活躍する丸山ゴンザレスさんだ。『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社)、『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』(講談社)など多くの話題書を刊行している。

 今回は、高田さんが日本に滞在しているタイミングでお時間をいただき、丸山さんと2人の対談形式でお話伺った。

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――そもそも“アジアの怪談本”を出そうと思ったきっかけはなんだったんですか?

丸山 4年以上前、高田さんとタイを回った時に、路上にシマウマの人形が大量に置いてあるのを見たんですよ。それで高田さんに「これなんですか?」って聞いたら、「タイでは人が死んだ場所にシマウマの人形を置くんですよ」って言われて、なんだそりゃ!? って大いに驚いたんです。

 すべてはそこから始まってますね。

高田 正直、タイでは日常でよく見る光景なので気に留めてなかったんですよ。丸山さんがすごく食いついたのを見て、「そっか興味ある人には、引きがある出来事なんだな」って初めて思いました。

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よく見るとひとつだけシカが混じっている

――たしかに、道端に置かれた大量のシマウマの写真は異様でビックリしました。ただあんなに異様で目立つ風習なのに「なぜそんな風習が始まったのか?」を突き止めるのにはとても苦労されていて、意外でした。

高田 タイの人ってすごい怖がりが多いんですよ。みんな怖がってなかなか話してくれない。なんとか話を聞くことができても「その現場に行こうよ」と誘うと、まず絶対に来てくれません。

――タイの新聞には死体の写真がよく載っているというイメージでした。だけど怖がりなんですね?

高田 そこは日本とは逆かもしれません。日本人は死体を怖がりますけど、タイ人はむしろ死体は大好きです。でも霊に関してはとても怖がります。怖がってるため、話を深くまで聞けなかったりして情報収集には苦労しました。また現地に行っても、地元の人はそもそもまったく話を知らなかったり。

丸山 タイの人って過去に関していい加減なんですよね。日本人に比べたらあんまり気にしてない。

高田 そうですね。たとえばタイの国鉄って130年くらいの歴史があるんですが、開通の頃からある駅で駅長さんに「この駅は建って何年くらい経つんですか?」って聞いたら「え? ああ、80年くらいなんじゃない?」みたいに言われました(笑)。こちらの方が詳しいという。鉄道の学校(国鉄入社のための鉄道職員養成学校)を出ているから、絶対に習ってるはずなんですけどね。自分が働いている駅ですら、その歴史には興味がないんでしょうね。

 シマウマも「なぜシマウマを置くのか」にはなかなかたどり着けませんでした。過去のことや起源について、残されてないんです。それでもいくつかの答えにはたどり着くことができました。ただし、これが100%正しい答えというわけではありません。

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