謎多き古代ミイラ「アイスマン」の“本当の正体”がついに判明! 5300年前の凶悪事件と死ぬ直前の日々が発覚!

 殺人事件の現場と遺体の“仏さん”は徹底的に調べ上げられて殺害状況が再現されるが、今回5300年前の“殺害現場”の様子がようやく解明されたという。はるか太古の青銅器時代前期に起こったその殺人事件とは、あの有名な“アイスマン”殺害事件である。

■アイスマンの“最期の旅”の道程を解明

 1991年にハイキング客によって発見されたミイラ化した5300年前の遺体は、海抜約3210メートルのアルプスの氷から溶け出てきた“アイスマン”である。

 青銅器時代の人物であるアイスマンは、この場所で“行き倒れ”になっていたのだが、なぜこんな高地で命が尽きてしまったのか。これまでの研究で、アイスマンは殺害されたというのが有力な仮説になっている。つまりこれは“殺人事件”なのである。

 とすればアイスマンは、自分に殺意を持った追っ手から逃れるべくこの山を登ってこの現場までやってきたことになる。ではアイスマンはどこからやって来て、どこに行こうとしていたのか。

謎多き古代ミイラ「アイスマン」の本当の正体がついに判明! 5300年前の凶悪事件と死ぬ直前の日々が発覚!の画像1
「Daily Mail」の記事より

 英スコットランド・グラスゴー大学のジェイムズ・ディクソン氏をはじめとする合同研究チームが、2019年10月に「PLOS ONE」で発表した研究では、アイスマンの衣服と胃腸内から採取されたコケ類を詳しく分析して、このアイスマンの“最期の旅”の足取りを追っており興味深い。

 研究チームは、アイスマンの胃腸と衣服から数千のコケ類を入念に採取して分析したところ、コケの種類は少なくとも75種類にも及ぶバリエーションがあることが突き止められた。

 “殺害現場”であるオーストリアとイタリアの国境付近の山の頂の周辺が、現在と同じ自然環境だったとすれば、アイスマンから採取されたコケの70%は付近に自生しているコケではないことが明らかになる。やはりアイスマンは短い間の移動でここまでやってきたのだ。

 アイスマンが蓄えていたコケ類の70%は、エッツタール・アルプスの南部の標高の低い場所に自生するものがメインであった。したがってアイスマンは山の南からここまで登ってきたことが濃厚になったのである。

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「Daily Mail」の記事より

 より具体的には、アイスマンの最後の“キャンプ地”はイタリアの南チロルにある谷、「シュナルスタール(Schnalstal)渓谷」が最有力と考えられるという。アイスマンはこの谷を出発して山を登り、その後敵に追われたという推測が立つのである。

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