右頬が裂けた少女が…!コックリさんよりも怖い「キューピットさま」で本当にあった怖い話! 川奈まり子の怪談「降霊」

川奈まり子の連載「情ノ奇譚」――恨み、妬み、嫉妬、性愛、恋慕…これまで取材した“実話怪談”の中から霊界と現世の間で渦巻く情念にまつわるエピソードを紹介する。

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画像は「Getty Images」より引用

【三十三】『降霊』

 今から40年ほど前のことになるだろうか。多くの学校で禁止されたコックリさんの後続として、類似の降霊占いが人気を集めた。

 大人がやらなかったわけではないが、もっとも熱心に遊んだのは小中学生で、私自身も、中学校のとき、コックリさん擬きの幾つかの占いに興じたものだ。

 その際、仲間のひとりが突然、教室から走り出たかと思ったら、二階の窓から昇降口の庇に飛び降りるといった奇行を示したことがあった。

 しかし、あれはオカルトの領域に触れるような出来事ではなかったと思う。

 神経が繊細な少女の中には、自己暗示にかかりやすい者が少なからずいる。奇行に走った子も、非常に精神がデリケートな、物に感じやすいタイプだった。

 コックリさんなどが大流行した昭和のあの頃、占いによって神秘的な存在が本当に降臨してきて、さらには自分に憑依した……と、思い込んだ結果、自分で自分に催眠術をかけけたかの如き精神状態に陥り、不思議な行動に走ってしまった例は、枚挙にいとまがなかったものだ。

 幸い、私が居合わせたケースでは、大事には至らなかった。だから、ごく淡い思い出に留まっている。その占いの正しい名称も、もう忘れてしまったほどだ。

 コックリさんに似た何か、だったことは確かなのだけれど、それがエンゼルさまだったか星の王子さまだったかというと、憶えていない。

 キューピットさまというものも、ポピュラーだった。

 東京の下町で生まれ育った多恵さんは、私より何歳かお若い方で、キューピットさまをした経験が、たった一度だけあるのだという。

 その日、小学5年生の多恵さんたち仲良し3人組は、放課後の教室でキューピットさまをする約束をしていた。

 スイッチを切られたラジエーターの熱が次第に冷めていく、冬の黄昏時だった。

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