9歳女児転落事件が起きた「N地区」の怪!謎の空き家、白骨遺体…川奈まり子の実話怪談『怪の棲む土地』(後編)

 そんなことがあってから間もなく、件の塀に出入口のない怪しい家のそばに建つ雑居ビルの、屋内駐車場の片隅で、白骨死体が見つかるという事件が起きた。

 車の運転席に乗ったまま息絶えたような格好だったという。駐車場は度々、警備保障会社の警備員がパトロールしていたのに、しかも人や車の出入りもかなり激しかったのにもかかわらず、誰にも腐敗臭に気づかれることもなく、運転席に座った遺体が白骨化するまで発見されないなんて、ありえないはず。 

 これがあまりにも奇怪だったせいか、このビルからはテナントがすべて出ていって、たちまち廃ビルになってしまった。

 これについても、佐藤さんの祖母は、Nという土地のせいだと述べているとのこと。

画像は「Getty Images」より引用


 ――今回、特定地域の風評被害への配慮から仮にNと呼ばせていただいたエリアについても、軽くリサーチした。

 ここには第二次大戦中の1941年に、陸軍の造兵廠、つまり軍需工場があったそうだ。

 そこでは学徒動員された工員の少年が、高温の硫酸槽の中に転落するといった痛ましい事故も起きていたとか。

 それが戦後は「仙台のアメリカ」と呼ばれる進駐軍の町になり……と、語りだすと長くなって怪談要素が薄まるので、この話はここまで。

(了)

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文=川奈まり子

東京都生まれ。作家。女子美術短期大学卒業後、出版社勤務、フリーライターなどを経て31歳~35歳までAV出演。2011年長編官能小説『義母の艶香』(双葉社)で小説家デビュー、2014年ホラー短編&実話怪談集『赤い地獄』(廣済堂)で怪談作家デビュー。以降、精力的に執筆活動を続け、小説、実話怪談の著書多数。近著に『迷家奇譚』(晶文社)、『実話怪談 出没地帯』(河出書房新社)、『実話奇譚 呪情』(竹書房文庫)。日本推理作家協会会員。
ツイッター:@MarikoKawana

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