「性自認」って何のこと? 論理思考を省いた「トランス支援」は当事者をバカにしている!(東京大学・三浦俊彦教授)

画像は「getty images」より

●S1「私は〈生物学的♀であるべき存在〉である」

 S1は「間違った体に生まれてきた」というよく耳にする言葉に対応します。「本来は女性身体を持つべきなのでホルモン治療や性別適合手術を希望する」という意味ですね[5]。身体違和のない人がS1を主張したなら、ただの事実誤認です。当人が女性である証拠にはなりません。

 

●S2「私は〈生物学的♀の大多数が演じている性表現・性役割〉に属する」

 S2は、当人が女装して、フェミニンな言葉遣いや振る舞いを身につけている場合は「真なる自認」と言えます。しかし、「女らしく」あれば女性である、あるいは女性は「女らしい」というのは悪しきステレオタイプでしょう。「小さい頃からお人形が好きだった」「お化粧したかった」と本人が誠実に申告したとしても、性別とは関係ないとするのが健全な社会常識とされています。シスジェンダーの人に「お人形遊びか。男の子らしくないね。女の子みたい」などと決めつけたら、差別だと非難されるはずです。トランスジェンダーも同等に扱わねばなりません。S2を女性である証拠と認めてはならないのです。

 かりに「いわゆる男らしさ・女らしさ」を性別の本質と認めたとしましょう。その場合、「らしさ」は民族や文化によって多様な形をとりうることを思い出さねばなりません。S2を自認する日本人トランスジェンダーA氏がアマゾネス社会に移住したとき、男女どちらに属するべきでしょうか。

 日本社会が急速に変貌することも考えられます。国会議員、数学者、長距離トラック運転手、殺人者、性犯罪者の大多数を生物学的♀が占め、助産師、保育士、看護師、レセプショニストの大多数を生物学的♂が占めたとしましょう。これまで女性らしいとされてきた服装も言動も逆転した場合、A氏の性自認は男女どちらなのか。環境に合わせて性別を登録しなおすのか。それは煩雑で非現実的ですね。どの社会にも共通した基準「生物学的性」に頼るしかなさそうです。

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