歯医者貯金、日本軍貯金…世界の貯金箱が集結! 集合体恐怖症もびっくり! 尼崎「世界の貯金箱博物館」

――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!


 大阪の出張のついでに尼崎に足を運んだ。

 阪神尼崎駅から南に少しだけ歩いて『世界の貯金箱博物館』に到着した。

 この博物館は尼崎信用金庫が運営している。建物も1930年に建てられた2代目の本店だった。確かに味のある入口だ。50年以上収集を続け、実に1万4000点を超える貯金箱を収蔵しているそうだ。

 館内に入るとズラーっと並んだ貯金箱が並んでいるのが目に入ってきた。その時はたまたま『ネコ&招き猫貯金箱展』という企画展をやっていた。色とりどりの招き猫がこちらをジッと見ている。ゾクッとする。


 脳裏で和歌山県の『淡嶋神社』を思い出す。人形供養が有名な神社で、あらゆる人形がものすごい数境内に飾られていた。

 一角には招き猫が大量にあって、トライポフォビア(集合体恐怖症)っぽい感じでゾクゾクとした。招き猫単体だと可愛いのだけど、集団になるとなんか恐ろしく感じる。

 招き猫企画展のはじっこには『招き虎』のコーナーもあった。兵庫県で虎と言えば当然、阪神タイガースである。


 タイガース優勝の新聞が敷かれ、1985年のユニフォームを着た虎のぬいぐるみが飾られていた。唯一日本一になった1985年をいつまでも大事にしているのがちょっと切ない。

 48歳の僕が、13歳の頃の話だし。当時生きていたネコも虎も犬も老人も全部死んでるな。

「世界の」とうたっているだけあって、世界各国の貯金箱も展示してある。

 中国はリアルな福福しい子どもの形、南アフリカは猿や鶏の形、ノルウェーやフィンランドはヴァイキングの形と、お国柄が出ている。


 アンティークコーナーでは、ブラックプールタワー、リッチフィールド大聖堂など名所の形をした貯金箱や、ポット、目覚まし時計など、日用品そのままの形をしたものが目立つ。ケネディー、チャーチル、ポールクルーガー、ポカホンタス、と実在の人物をそのまま貯金箱にしたものも多く迫力がある。

 19世紀のアメリカの玩具メーカーで作られた、メカニカルトイバンク(鉄製からくり貯金箱)というシリーズが非常に面白かった。今ではちょっとコンプライアンス的に厳しいんじゃない? という商品も多い。

『大砲で戦車にコインをブチ込む貯金箱』

『黒人の手にコインを置くと、パクっと食べる貯金箱』

『歯医者のポケットに小銭を入れると患者の歯を引っこ抜き、患者と歯医者がひっくり返ってお金が入る貯金箱』

『コインを乗せるとインディアンが飛び出してコロンブスに葉巻をすすめる貯金箱』

『塔の前に立つ子どもめがけてコインをぶっ飛ばす、ウイリアムテル貯金箱』

 などなどである。今とはちょっと違う発想で作られた商品が多くて見ていて飽きなかった。

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