“邪悪な目”から身を守る古代のアミュレットがイスラエルで発見される! 1500年前のお守りから判明した悪霊の正体とは?
タルムードの教えに従って日々の生活を送り、学問を重視しているユダヤ教徒も“邪悪な目”を恐れていた――。ユダヤ人居住地から“邪悪な目”から身を守るために身に着けるお守り(アミュレット)が発見されたのだ。
■ユダヤ人居住地で発見された1500年前のお守り
古代のお守りは通常、悪霊から身を守るものと、悪霊を呼ぶものの2つのカテゴリに分類されている。
そのお守りがどちらに属するのか見分けるのは考古学者にとっても難しいことなのだが、40年前にイスラエル古物局(IAA)に提出された1500年前のお守りは“邪悪な目”に呪われないよう身を守るアミュレットであることが判明していて興味深い。
件のアミュレットは、イスラエル北部地区のガリラヤ湖西岸アルベルの村に住む今は故人のトヴァ・ハヴィヴ氏によって40年前に発見され、最近になって遺族からIAAに引き渡されたものであると当局は説明している。イスラエル国内で発見、発掘された歴史的な遺物は原則として国家(イスラエル市民全員)のものであり、発見者は速やかに当局へ提出することが求められている。
アミュレットは丸みのある三角形で、両面に文字と絵が刻まれている。表裏があるのかどうかは不明なようだが、一方の面には頭に後光が差している騎手と馬が描かれている。地面に仰向けに倒れている女性に向けて騎手は球体(オーブ)を投げていて、ギリシャ語で「悪を征服する唯一の神」という碑文に囲まれている。
馬の下には、ヘブライ語の神の名である「Y-H-W-H」に相当するギリシャ文字「I A W O」が記されている。
もう一方の面には矢が刺さった目が中央に描かれ、その周囲を2頭のライオン、1匹のヘビ、1匹のサソリ、1羽の鳥が囲み、「唯一の神」と書かれたギリシャ文字が刻まれている。
「このアミュレットは、おそらくガリラヤとレバノンで生産された、5~6世紀のレバント(東部地中海沿岸地方)から流れて来た“アミュレットグループ”の一部です」と、IAAの古物盗難防止ユニットの副局長であるイーサン・クライン博士はプレスリリースで言及している。
このアミュレットの型は「ソロモンの封印(Solomon’s Seal)」と呼ばれることもあり、騎手が悪霊に打ち勝つ様子が描かれているという。女性と子どもを脅かすギリシャ神話の悪霊である「ゲロ(Gello/Gyllou)」の”邪悪な目”で呪われた女性が騎手によって救われている様子が描かれているということだ。
「裏側の目は“邪悪な目”であり、さまざまな手段で攻撃され、打ち負かされています。したがってこのお守りは、おそらく女性や子どもを“邪悪な目”から守るために使用された可能性があります」(イーサン・クライン博士)
ユダヤ教の要素が一切ないこのアミュレットがユダヤ人の居住地で発見されたのは実に意外なことである。この村にはシナゴーグを含む当時の遺跡がいくつかあり、きわめてユダヤ色の強いエリアなのだ。
「学者たちは一般的に、このようなお守りの装着者を正統派、それにグノーシス派のキリスト教徒であると特定していますが、このお守りが西暦5~6世紀にシナゴーグのあるユダヤ人の居住地で発見されたという事実は、その時代のユダヤ人でさえこのタイプのお守りを身に着けていたことを示している可能性があります。“邪悪な目”や悪魔から身を守っていたのです」とクライン博士は説明している。
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