「将来人間レベルの知能を持ちうる生物」を6人の識者が考察! チンパンジーやイルカだけじゃなかった!
※ こちらの記事は2019年9月3日の記事を再掲しています。
フィクションには人間のような知能を持った動物たちが頻繁に登場するが、現実問題として、そんなことは可能なのだろうか? 将来、人間並みに高い知性を持つ可能性がある動物はいるのか、いるとしたらそれは一体どんな動物なのか。米「Gizmodo」(8月26日付)では識者6人が考察している。
・Which Animal Will Develop Human-Level Intelligence in the Future? (Gizmodo)
■人間並みの知性を持ちうる動物とは?
この問いに対し、多くの人がまず思い浮かべるのは、チンパンジーやボノボといった類人猿だろう。米モントクレア州立大学の認知生物学者ジュリアン・キーナン氏も、これらの動物を人間のような知能を獲得しうる動物の筆頭として挙げている。
この問いについて、キーナン氏が重視するのは『自己認識』である。つまり、自分が何を知っているかを認識し、どのように考えているかを把握し、さらには第三者目線で自己について考える能力だ。他者の思考をモデル化できるだけの自己認識力こそ多くの知的行動の基盤であるといい、人間以外にもチンパンジーがこの能力を持っているという。
「(チンパンジーやボノボは)コミュニケーションし、他の個体をだまし、抽象的に考え、同族を殺し、『政府』を組織し、問題をモデル化します。潜在的な可能性がありますが、次世代が直面するプレッシャー次第でしょう」(キーナン氏)
英オックスフォード大学の進化心理学者ロビン・ダンバー氏は、類人猿の他にも、イルカやゾウといった動物を最も可能性がある動物として挙げる。これらの動物が人間に次ぐ大きさの脳を有していることがその理由だが、一方で、彼らが人間のような知性を獲得するには、たくさんの捕食者がいる環境に適応しなければならない必要性があるとも指摘する。そのため、より可能性が高いのは絶滅の危機にあるゾウよりイルカだろうとしている。
■「知性とは何か」という問題
類人猿やイルカの可能性を指摘する識者がいる一方で、米ジョージア・グウィネット大学の心理学者スティーブン・M・プラテック氏は、人間の知性は他の動物には見られない、人間独特のものだという。人間の知能の高さは遠い昔の先祖が代々直面してきた進化の圧力のたまものであり、他の生物の追随を許さないものだというのだ。
米ヴァンダービルト大学の心理学者スザナ・エルクラーノ=アウゼル氏は、この問題に答えることの難しさを述べている。類人猿には高い問題解決能力や視覚的記憶能力、階層的な計画能力などがあるといい、ゲームなど人間独特の行動を学べることには同意するものの、彼らは人間のものとは比べ物にならない限られた文化しか持たないと指摘する。
「類人猿の社会は人間のものほど組織化されておらず、複雑でもありません。よって、単純な比較はできないのです」(アウゼル氏)
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