【未解決】女子高生が路上で下着を奪われ惨殺…犯行に垣間見れる“一致しない犯人像”の謎『豊田市女子高生殺害事件』
「女子高生が路上で引き倒され、ジャージや下着を奪われた末に惨殺された(しかし乱暴はされていない)事件」と聞くと、その犯人像について、どのようなタイプを思い浮かべるだろうか。
2008(平成20)年5月3日、愛知県豊田市にある豊田南インターチェンジ近くの農道で、近隣に住む女子高生・Aさん(当時)の遺体が発見された。Aさんは前日の18時30分頃に部活を終え、18時45分頃に自転車で学校出発。学校から自宅へと向かう道すがら、暴漢と遭遇し、事件に巻き込まれたと見られている。
遺体発見現場からは、彼女が所持していたスクールバッグと下着が持ち去られており、後に15キロほど離れた場所でバックが発見された時には、中に入っていたジャージが確認できなかったことから、犯人はバッグごと持ち去り、その後、中のジャージだけを抜き盗ってバッグそのものは投げ捨てたと見られるという。
なお、事件発生当時、現場周辺はどこまでも田畑が続く田園地帯となっており、日中の視界は良好であるものの、日が落ちるとかなり暗く、そのせいか以前から変質者に関する目撃情報が寄せられていたほか、この事件が発生するひと月ほど前にも、女子高生が変質者にいきなり押し倒されるという事件が発生していたという。さて、後に『豊田市女子高生殺害事件』と名付けられたこの事件は、本稿で取り上げることからもわかるように、現在も未解決のまま、捜査が続けられているが、事件の概要についてご紹介したところで、改めて冒頭の話に戻したい。「この事件の犯人像」について、だ。
皆さんは、一体いかなる人物を思い浮かべるだろうか。下着やジャージが持ち去られている点や、以前から付近で変質者が暗躍していたことなどから、下着などに強い執着を持ったフェチ的嗜好のある人物を思い浮かべる人は少なくないだろう。あるいは、1カ月前に起きたという女子高生の押し倒し事件との関連から、特定の年齢層などに執着しているタイプを思い浮かべるかもしれない。
また、犯行時の状況についても、スクールバッグが15キロも離れた場所で発見されている点などから、犯人は車やバイクなどを使って被害者を追い回し、凶行に及んだ後で素早く現場から逃走した……というようなイメージを抱く人もいることだろう。
いずれにせよ、多くの人がイメージし、また、捜査関係者たちも推測するであろうこうした犯人像について、筆者は「ある意味正解で、ある意味不正解」であると考えている。なぜならば、そうした“多くの人々がイメージする犯人像”に基づいて捜査した結果、現在まで本事件は解決されていないからだ。では、筆者が思う犯人像は如何なるものなのか。
まず、大枠として、犯人がいわゆる「変質者タイプ」であると考えること自体は、筆者もほぼ同じ見解である。しかしこうした犯人の多くは、意外と用意周到に手はずを整えて犯行に及ぶタイプが多い傾向にあることを思えば、やや腑に落ちない点もある。というのも、そもそもこの手の事件は、普段は一見、草食系ともいえるような、真面目で穏やかそうに見えるタイプが引き起こすケースが目立つからだ。要は基本が小心者であるがゆえに、犯行に際しても慎重に行っているというわけである。
だが、そうした観点に基づいて本事件をみると、そうした人物像とは必ずしも一致しない、やや慎重さに欠ける部分があることに気付かされる。たとえば現場には犯人の所持品と思しき結束ベルトなどがあまりに無造作な形で残されていた。指紋が検出されなかったことから、犯行に際しては手袋をはめていたと思われるが、なぜ手袋まではめるような人間が、このようなものを無造作に放置したまま逃走したのだろうか。
これがまだ血の付いた刃物などならば、「事件と自分を早く遠ざけたい」という一心で捨て去ることもまだ理解できるが、結束ベルトである。しかも、仮に本事件を引き起こした犯人が、1カ月前に起きた女子高生の押し倒し事件と同一犯であるか、同一犯でなくとも事件発生について知っている近隣住民であった場合、周辺をパトロール中の警察官に遭遇する可能性を考慮せずに、犯行現場に選んでしまうというのは、本来ならばまず有り得ないだろう。その点についても、筆者は首を傾げてしまうのだ。
こうした点などから、筆者は本事件の犯人像について、まず、土地勘のある地元民ではなく、いわゆる「流しの犯行」である可能性を感ぜずにはいられない。たとえば2004年に発生し、そこから14年もの時が流れた2018年に犯人が逮捕された『広島・廿日市市女子高生刺殺事件』においては、逮捕後の公判で「下校中と思われる女子高生を見かけて……レイプしようという考えになりました。そういうことをできる相手を探すようにして、原付で走り回りました」と犯人が供述している。勿論、被害者との面識はなく、たまたま家に入る姿を目撃したに過ぎないのだという。仮にそうしたタイプの犯人が本事件を引き起こしたのであれば、前述した不自然(というか、独特な杜撰さ)が垣間見られるのも頷けるし、事件が未解決なのも理解できる。15キロも離れた場所でスクールバッグを捨てたのも、「移動中に捨てた」と考えれば辻褄が合うだろう。
無論、これらはあくまで筆者の推測を元にしたある種の妄想でしかないのだが、固定観念というものは、得てして事件を解決から遠ざけてしまう性質を持っている。願わくばこの記事をキッカケに、これまで浮上しなかった真相の断片が現れてくれることに期待したい。
※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊【未解決】女子高生が路上で下着を奪われ惨殺…犯行に垣間見れる“一致しない犯人像”の謎『豊田市女子高生殺害事件』のページです。愛知県、豊田市女子高生殺害事件、未解決事件などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで