歴史上最も衝撃的な5つの“脱獄劇” ― 自由への渇望が生んだ天才と狂気の計画

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UnsplashPaolo Chiabrandoが撮影した写真

「意志あるところに道は開ける」。この古くからの格言を、最も意外な形で証明してきた者たちがいる。それは、鉄壁の監獄から自由を勝ち取った、悪名高き囚人たちである。

 17世紀の義賊から、現代の麻薬王まで、彼らは時に驚くほど独創的で、映画のような計画を実行し、自由のためなら全てを賭ける覚悟を示してきた。ここでは、歴史に名を刻んだ5つの衝撃的な脱獄劇を紹介しよう。

1. ジョン・シェパード ― 庶民を熱狂させた“4度の脱獄”

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By James ThornhillNational Portrait Gallery, Public Domain, Link

 18世紀初頭のロンドンで、ジョン・シェパードは伝説的な存在だった。非暴力的な窃盗を繰り返し、そのカリスマ性から「正直者ジャック」の愛称で庶民に愛された彼は、1724年の一年間だけで、なんと4度もロンドンの刑務所からの脱獄に成功している。

 有能な大工見習いであった彼は、その技術を悪用。ベッドシーツで縄を作り天井を突き破る、手錠をヤスリで切断する、窓の鉄格子を緩めて抜け出すなど、多彩な手口で看守たちを翻弄した。4度目の脱獄では、厳重な警備が敷かれたニューゲート監獄から、手錠を外し、何食わぬ顔で正面から脱出。しかし、5度目の逮捕でついに年貢の納め時を迎え、20万人もの群衆が見守る中、絞首刑に処された。

2. アルカトラズ刑務所からの脱出(1962年)

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フランク・モリス US Federal Government – US Federal Government, パブリック・ドメイン, リンクによる

「脱獄不可能」と謳われた、サンフランシスコ湾に浮かぶ監獄島、アルカトラズ。1962年6月11日の夜、フランク・モリスとアングリン兄弟の3人が、この鉄壁の要塞からの脱獄を成し遂げた。

 彼らは何か月もかけて、独房の換気口をスプーンなどで拡張。看守の目を欺くため、自分たちの寝台には張り子で作った精巧なダミーヘッドを置いていた。そして、換気口から脱出した3人は、50着以上のレインコートを盗んで作った手製のイカダで、闇夜の海へと漕ぎ出した。

 翌朝、彼らの不在が発覚した時には、すでに姿はどこにもなかった。FBIは彼らが溺死したと結論付けたが、遺体は発見されておらず、その行方は今なおアメリカ史上最大のミステリーの一つとして語り継がれている。この事件から1年も経たないうちに、アルカトラズは刑務所としての歴史に幕を閉じた。

3. メイズ刑務所集団脱獄事件(1983年)

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By Public Record Office of Northern IrelandEscape from HM Prison Maze, 1974 (4 of 9), No restrictions, Link

 北アイルランド紛争の最中、IRA(アイルランド共和軍)のメンバー38人が、ヨーロッパで最も警備が厳重と言われたメイズ刑務所から集団で脱獄した、英国史上最大の脱獄事件。

 IRAのメンバーは、外部から密かに持ち込んだ6丁の拳銃を使い、看守たちを制圧。刑務所ブロックを完全に掌握した後、食事の配達用トラックを乗っ取り、38人の囚人を荷台に乗せて正面ゲートへと向かった。ゲートで看守と銃撃戦になり、看守1人が死亡するも、彼らは強行突破に成功。後に19人は再逮捕されたが、残りの半数はアイルランドやアメリカ、ヨーロッパ本土への逃亡に成功した。この事件は英国政府に大きな恥をかかせ、IRAのプロパガンダとして大々的に利用された。

4. “エル・チャポ” ― 麻薬王の2度の映画のような脱獄

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DEA / Public Domain (Source)

 世界最大の犯罪組織シナロア・カルテルのボスであり、「ショーティー」を意味する“エル・チャポ”の異名で知られるホアキン・グスマン。彼は、その残忍さだけでなく、2度にわたるあまりに大胆な脱獄劇でも悪名を轟かせた。

 最初の脱獄は2001年。メキシコの最高警備刑務所に収監されていた彼は、数十人の刑務所職員を買収し、洗濯用のカートに隠れて堂々と正面から脱出。その後、13年以上も逃亡を続けた。

 2014年に再逮捕されたが、翌年、再び世界を驚かせる。なんと、独房のシャワー室の床下から、約1.5km離れた建設現場まで続く、精巧なトンネルを掘っていたのだ。トンネル内には換気システムや、土砂を運び出すための改造バイクまで備えられていた。この麻薬王は2016年に三度逮捕され、現在はアメリカのスーパーマックス級刑務所に収監されている。

5. テッド・バンディ ― 裁判所の窓から飛び降りたシリアルキラー

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Image: Florida Department of Corrections / Public Domain (Source)

 アメリカ史上最も有名なシリアルキラーの一人、テッド・バンディもまた、2度の脱獄を成功させている。

 1977年、自らの弁護人となることを選択した彼は、手錠も足枷もなしに裁判所の図書室への立ち入りを許可された。そして、看守の注意が逸れた一瞬の隙をつき、2階の窓から飛び降りて逃走。6日後に再逮捕された。

 刑務所に戻った彼は、すぐさま次の計画に着手。大幅に減量して体を細くし、金属ノコギリで削って広げた独房の天井の穴から脱出。看守のアパートを通り抜け、民間人の服に着替えると、何食わぬ顔で歩いて刑務所を後にした。彼はその後フロリダへ逃亡し、最後の凶行に及んだ後、ついに逮捕された。

 結局のところ、どんなに堅牢な壁を築いても、人間の持つ最も厄介な抜け穴――すなわち「知恵」と「執念」――を塞ぐことはできないのだ。

参考:Mental Floss、ほか

TOCANA編集部

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