血を抜かれた死体に“牙の痕”… CIAが仕掛けた実在の「ヴァンパイア作戦」がエグすぎる! 吸血鬼の恐怖で敵を壊滅させた心理戦

東西冷戦の時代、超大国アメリカは共産主義の拡大を阻止するため、世界中で血みどろの代理戦争やスパイ工作を繰り広げていた。だが、1950年代のフィリピンで行われたある極秘作戦は、銃やミサイルではなく、「吸血鬼」の恐怖を使って敵を敗走させたという、嘘のような本当の話である。
オカルトや民間伝承が、いかにして国家レベルの心理戦に利用されたのか。CIAや米軍が主導した「ヴァンパイア作戦」の不気味な全貌とは。
標的は共産主義ゲリラ、武器は「地元の妖怪」
第二次世界大戦後、フィリピンでは旧日本軍に抵抗していた抗日ゲリラ組織「フクバラハップ」が、そのまま共産主義の反政府勢力として蜂起し、フィリピン政府と激しい内戦を繰り広げていた。東南アジアの「赤化」を恐れたアメリカは、軍事顧問団を派遣してフィリピン軍を支援することになる。
しかし、ジャングルに潜むゲリラを通常の軍事力だけで制圧するのは容易ではない。そこで白羽の矢が立ったのが、人間の心理や恐怖心を操る「心理戦(サイコロジカル・オペレーション)」だった。
この作戦を指揮したエドワード・ランズデール米空軍将校(のちにCIA工作員としても活躍)は、軍人になる前は広告業界でウェルズ・ファーゴやネスレといった大企業のPRを手掛けていた異色の経歴を持つ人物だ。彼は「敵の文化や迷信を理解し、その恐怖心を突くことが、直接的な軍事攻撃と同じくらい効果的だ」と主張した。
彼が目をつけたのは、フィリピンの民間伝承に登場する「アスワング」と呼ばれる妖怪である。アスワングは、人間の血や内臓をすする吸血鬼やグール(食屍鬼)のような恐ろしい化け物として、当時のフィリピンの農村部で深く恐れられていた。日本で言えば「山姥」や「鬼」への恐怖を、国家が軍事利用しようと考えたようなものだ。
血を抜かれた死体……「アスワングの仕業」を偽装せよ
ランズデールが立案した「ヴァンパイア作戦」の実行手口は、シンプルだが極めて悪趣味で残酷なものだった。
米軍の支援を受けたフィリピン軍は、まず待ち伏せ攻撃でフクバラハップのゲリラ兵を1人捕らえて殺害する。そして、その死体の首筋に「吸血鬼の牙」に見せかけた2つの深い穴を開け、体内の血を完全に抜き取ったのだ。
完全に血の気を失い、首に牙の痕が残されたその死体は、ゲリラたちが頻繁に通るジャングルの獣道に意図的に放置された。
翌日、パトロール中のゲリラ部隊がその無残な遺体を発見したときのパニックは想像に難くない。彼らは「アスワングが出た! 仲間が血を吸い尽くされた!」とパニックに陥り、その日のうちに恐怖に駆られて拠点ごとジャングルから逃げ出したという。弾薬を一切消費することなく、幽霊の噂だけで敵の部隊をひとつ壊滅させたのである。

嘘が現実を動かす「心理戦」の恐ろしさ
この作戦は、現在では機密解除された米軍の報告書や歴史研究によって裏付けられている。
もちろん、吸血鬼が実在したわけではない。しかし、「人間が信じている恐怖」を人為的に作り出し、それを証拠(偽装された死体)とともに突きつければ、集団は簡単に崩壊する。情報操作と演出によって敵の認識を歪めるこのランズデールの手法は、現代のフェイクニュースや情報戦の先駆けとも言えるだろう。
その後もアメリカはフィリピンでの対ゲリラ戦において、農村部への支援や政治工作(反共産主義の大統領を誕生させるなど)といったソフトパワーを駆使し、最終的にフクバラハップの勢力を削ぐことに成功した。このフィリピンでの「成功体験」は、後のベトナム戦争などにおけるアメリカの冷戦戦略のモデルケースとなっていく。
国家の諜報機関が、大真面目に「どうやって吸血鬼の仕業に見せかけるか」を会議し、実行に移していた冷戦時代。オカルトや都市伝説は時として、最新鋭の兵器よりも恐ろしい「兵器」に化けることがあるのだ。今私たちがネットで目にしている不気味な噂話の中にも、もしかするとどこかの国家機関が意図的に流した「現代のアスワング」が紛れ込んでいるのかもしれない。
参考:Military.com、Unexplained Mysteries、ほか
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