霊媒師を通して「幽霊が書いた」と主張される世界の奇妙な文学作品10選!本物の“ゴーストライター”は実在するのか

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 死後の世界があるのかどうかは、いつの時代も議論の的だ。しかし、一部の「幽霊」たちはそんな議論をよそに、あの世からせっせと本を執筆しているらしい。

 自動筆記やウィジャボード(西洋版こっくりさん)を通じて、生者を通訳代わりに書き上げられたとされる奇妙な本たち。霊の存在を信じる者にとっては貴重な証拠であり、信じない者にとっては霊媒師の詐欺や妄想の産物だろう。しかし、どちらの立場に立つにせよ、これらの「ゴーストライター(文字通りの!)」たちが残した奇書は、オカルトと文学の境界に存在する最高に奇妙な読み物であることに間違いない。

 今回は、そんな「幽霊が書いたとされる10冊の本」をご紹介しよう。

1. 『セス・マテリアル(The Seth Material)』(1970年)

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 1963年、ジェーン・ロバーツと夫のロバートはウィジャボードで遊んでいた。すると突然、ジェーンの脳内に「セス」と名乗る男の声が響き始めたという。やがて彼女はセスの霊媒となり、彼が語る宇宙の真理や形而上学的な教えを夫が書き留めるようになった。

「人間は自らの思考で現実を創造する」というセスの教えは、1970年に『セス・マテリアル』として出版され、ニューエイジ運動のバイブル的存在となった。心理学的な解離状態の産物だとする批判もあるが、数百万部を売り上げたこの本は、現代のチャネリング文学における金字塔である。

2. 『メスロムから女性へ(To Woman from Meslom)』(1920年)

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 1919年、パリを訪れたアメリカ人観光客のメアリー・マッケビリーは「自動筆記」に出会い、「メスロム」という高尚な霊と交信できるようになったと主張した。

 しかし、あの世から届けられたメッセージは「女性は政治に参加すべきではないし、高等教育も受けるべきではない」という、やたらと古臭い性別役割分業を説くものだった。20世紀初頭とはいえ、あまりにも保守的すぎる霊の教えはウケが悪く、本はまったく売れなかった。

3. 『歴史的啓示(Historical Revelations…)』(1886年)

 ローマ皇帝ユリアヌス(在位361〜363年)といえば、キリスト教を弾圧し「背教者」と呼ばれた人物だ。しかし19世紀の作家トーマス・クッシュマン・バディントンによれば、ユリアヌスのキリスト教嫌いは死後も健在だったらしい。

 バディントンはユリアヌスの霊と交信し、キリスト教を痛烈に批判する本を口述筆記したと主張した。歴史家の多くは「バディントンが自説を補強するために歴史上の有名人の名を騙っただけ」と冷ややかに見ているが、19世紀のスピリチュアリズムの珍品としては面白い。

4. 『悪魔との格闘(My Tussle with the Devil)』(1918年)

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「最後の一葉」や「賢者の贈り物」で知られる名短編作家O・ヘンリー。彼は1910年にアルコール依存症の合併症で亡くなったが、その8年後、「O・ヘンリーの幽霊」名義で新たな短編集が出版された。

 霊媒師アルバート・ホートン・プラットを通じて書かれたというこの本だが、生前のO・ヘンリーの作風とはかなり異なっていた。プラットは「霊体になったことで、彼の文体がより繊細で洗練されたからだ」と言い訳したが、もちろん公式な作品としては一切認められていない。

5. 『ヴィジョン(A Vision)』(1925年)

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 20世紀を代表する詩人であり劇作家のW・B・イェイツ。彼が1917年に新婚旅行に出かけた際、妻のジョージーが「自動筆記」を始めた。最初は支離滅裂だったが、イェイツはそこに深い意味を見出し、妻に筆記を続けさせた。

 数年かけて書き上げられた数千ページに及ぶ外部からのメッセージは、1925年に『ヴィジョン』として出版された。著者名はイェイツだったが、実際には妻の自動筆記がベースになっている、非常にオカルトチックな夫婦の共同作業であった。

6. 『霊界の放浪者(A Wanderer in the Spirit Lands)』(1896年)

 幽霊が書いた本でも、意外と「死後の世界」について詳しく書かれたものは少ない。だが、フランチェッツォという霊が口述したとされるこの本は別だ。

 彼は自分が地獄のような領域からスタートし、精神的な成長を遂げながら徐々に天国へと向かっていく様子を鮮明に語っている。当時の書評家からは「一文字たりとも真実はない」「ダンテの『神曲』の足元にも及ばない」と酷評されたが、霊界のマップを作ろうとした野心作ではある。

7. 『神曲(Divine Comedies)』(1976年)

 幽霊が書いた本の中で、唯一「文学的に大成功」を収めたのが本作だ。ジェームズ・メリルとパートナーがウィジャボードを使って1世紀の古代都市に生きていた「エフライム」という霊と交信し、その内容を長編詩にまとめた。

 この作品はなんと1977年のピューリッツァー賞(詩部門)を受賞してしまう。メリル自身、これが本当に霊の言葉なのか、自分の潜在意識の産物なのかを聞かれた際、ウィジャボードの文字を引用して「Yes and no(イエスでありノーである)」とだけ答えている。

8. 『エイブラハム・リンカーン:ある談話(Abraham Lincoln: A Discourse)』(1910年)

 19世紀の有名霊媒師コーラ・L・V・スコットは、トランス状態に入って様々な霊の言葉を大衆に届けていた。彼女がチャネリングした中で最も大物だったのが、元大統領のエイブラハム・リンカーンだ。

 しかし、1881年に彼女が「リンカーンの霊」として語った内容は、オカルト専門誌の編集者からすら「リンカーンらしくない」とツッコミを入れられる始末だった。後に書籍化されたものの、歴史的資料としての価値は皆無である。

9. 『悲しみの物語(The Sorry Tale)』(1917年)

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 1913年、パール・カランという女性がウィジャボードを使っていると、「ペイシェンス・ワース」という17世紀のイギリス人女性の霊が語りかけてきた。彼女は身の上話は渋ったものの、創作意欲は非常に旺盛で、カランを通じて小説や詩、戯曲を猛烈な勢いで書き上げた。

 彼女の最初の小説『悲しみの物語』は批評家からも高く評価され、カランがよどみなく長文を紡ぎ出す姿は多くの人を驚かせた。もっとも、懐疑派は「カラン自身の驚異的な記憶力とリサーチの賜物だ」と分析している。

10. 『ジャップ・ヘロン(Jap Herron)』(1917年)

 前述のパール・カランの友人であるエミリー・グラント・ハッチングスも、ウィジャボードを通じて「あの世の大物作家」と交信したと主張した。その相手とは、『トム・ソーヤの冒険』で知られる文豪マーク・トウェイン(1910年没)である。

 トウェインの霊が口述したという小説『ジャップ・ヘロン』が出版されると、当然ながらトウェインの娘が激怒し、出版差し止めの訴訟を起こした。ハッチングスは「トウェインの霊が出版を熱望している!」と抵抗したが、最終的には敗訴して本は破棄された。

 当時のニューヨーク・タイムズの批評家は、この出来の悪い小説について痛烈な皮肉を残している。「もしこれが本当にあの世からのトウェインの作品だというなら、読者は彼に『あの世との境界線をしっかり守ってくれ』と願うだろう」

 偉大な文豪から古代の霊まで、あの世の住人たちはどうやら現世に伝えたいことが山ほどあるらしい。それが本当に霊界からのメッセージなのか、それとも霊媒師たちの無意識が生み出した壮大なフィクションなのか——その真実は、私たちが「あちら側」へ行くまでのお楽しみである。

参考:Listverse、ほか

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