コックピットで「叫び声、口論、荒い息遣い」18秒間の死闘… 中国東方航空5735便墜落事故、ボイスレコーダーが捉えた”操縦桿争奪戦”の恐怖

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 旅客機の事故原因といえば、エンジントラブル、悪天候、管制ミス――そうした「機械と環境の失敗」を真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。だがときに、最も恐ろしい原因はコックピットの中にある。

 2022年3月21日、中国雲南省の昆明から広州へ向かっていた中国東方航空のボーイング737型機が、広西チワン族自治区の山腹に激突し、乗客乗員132人全員が死亡した。当初、中国当局は「航空機や乗員に異常は見られなかった」と発表。原因は長らく謎のままとされてきた。それから4年以上が経った今、米国の調査機関が公開した報告書と、イタリア紙が伝える新情報が、事故の輪郭を一変させつつある。

「叫び声、口論、荒い息遣い」――ボイスレコーダーが捉えた18秒

 イタリアの有力紙コリエレ・デッラ・セーラは、調査に詳しい関係者の証言として、墜落直前のコックピット音声レコーダーに衝撃的な記録が残されていたと報じた。そこに収められていたのは、叫び声、口論のような音、そして荒い息遣い。さらに、操縦桿をめぐる肉体的な格闘を思わせる物音だったという。

 同紙の報道によれば、フライトデータの解析から、墜落前に両エンジンへの燃料供給が遮断されたのち、誰かが操縦桿を前方へ押し込み、機体を急角度の降下に追い込んだことが示されているという。そして別の人物が逆方向に操縦桿を引き戻そうとした——その格闘が18秒間続いた。

 この格闘が終わるとともに、機体のブラックボックスはフライトデータの記録を停止した。当時、コックピットには3人がいた。機長、副操縦士、そしてオブザーバーとして同乗していたパイロットだ。それぞれが何をしていたのか、今なお確定的なことはわかっていない。

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2015年に撮影された事故機 Shadman Sameehttps://www.flickr.com/photos/shadman_samee/22997094724/, CC 表示-継承 2.0, リンクによる

燃料レバーは「意図しては動かない」設計だった

 今年5月1日、米国家運輸安全委員会(NTSB)はフライトデータレコーダーの解析結果を公開した。NTSBが中国の調査に関与したのは、この機体とエンジンがアメリカ企業製であり、かつ米当局がブラックボックス解析の世界的な権威とされているためだ。

 報告書が示したのは衝撃的な事実だった。ボーイング737の燃料レバーは、誤って触れた程度では動かない設計になっている。安全ロックを解除するために意図的に引き出してから動かす必要があり、「うっかり」遮断されることはまず考えられない構造だ。航空安全の専門家でセーフティ・オペレーティング・システムズCEOのジョン・コックス氏は「レバーはロックされる構造で、誰かが意図的に両方を遮断位置に動かした可能性が高い」と述べている。

 フライトデータは高度約7900メートル(2万6000フィート)の時点で途絶えた。油圧系統が停止したためだ。ただしボイスレコーダーはバッテリー駆動のためその後も記録を続けており、墜落直前の音声は残っている——しかし現時点でNTSBはその内容を公開していない。公開するかどうかを決める権限は中国当局にある。

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ボイスレコーダーの回収作業の様子 中国新闻网, CC 表示 3.0, リンクによる

「操縦桿が行ったり来たり」――専門家が語る”格闘の痕跡”

 元NTSB・連邦航空局(FAA)の事故調査官、ジェフ・グゼッティ氏は、このフライトデータが「コックピット内での争いを示唆している」とし、パイロットによる故意の墜落だった可能性を指摘する。

「通常、機体をロールさせるときは、操縦輪を一方向にスムーズに動かす。だがこのケースでは、操縦輪が行ったり来たりと繰り返し動いている。まるで最初の動きを誰かが打ち消そうとしているかのように」とグゼッティ氏は語る。「断定はできないが、コックピット内での格闘の特徴そのものだ」

 思い起こされるのは2015年のジャーマンウィングス9525便墜落事故だ。副操縦士のアンドレアス・ルビッツが機長をコックピットから締め出し、意図的に機体をフランスのアルプス山脈に衝突させ、乗客乗員150人が死亡した。日本でも広く報じられ、パイロットのメンタルヘルス管理のあり方に大きな議論を呼んだ事件だ。グゼッティはまた、1999年にニューヨーク沖に墜落したエジプト航空990便についても、副操縦士が故意に海へ突入させた可能性が高いとされていると指摘している。

パイロットは「助けを求められない」構造的問題

 今回の報告書が改めて浮き彫りにするのは、パイロットのメンタルヘルスをめぐる航空業界の根深い問題だ。精神的な不調を抱えても、多くのパイロットは自ら声を上げることをためらう。理由は単純で、申告すれば航空身体検査の認定を失い、飛べなくなるリスクがあるからだ。再認定には数ヶ月以上かかることもあり、その間の収入も途絶える。国によっては抗うつ剤などの一般的な精神科薬の服用すら禁止されている。

「パイロットたちがためらうのは、極めて当然のことだ。メンタルヘルス評価を受けた後に再認定を取得するまでのプロセスは、非常に過酷で長期にわたる」とコックスは語る。「それを知っていて、誰が名乗り出られるだろうか」

 中国当局は事故発生から4年以上が経った今も最終報告書を公表していない。国際基準では概ね1年以内の公表が求められているが、中国民用航空局はいまだ沈黙を保ったままだ。事故で亡くなった132人の家族にとって、真実はまだ遠い。

 山肌に直径20メートルのクレーターを残し、森林を焼き払ったあの墜落から4年。ボイスレコーダーの中に刻まれた18秒間の「何か」が、静かに答えを待ち続けている。

参考:Daily Mail、ほか

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