宇宙飛行士は脳にダメージを受けている!? 宇宙空間が脳に与える影響
新しい研究によると、宇宙で放射能にさらされる事は脳に深刻なダメージを与える。宇宙飛行士が宇宙空間で受けるコンディションをシュミレーションしていた研究者たちは、ラットを高エネルギー粒子に曝す実験の後にそう結論付けた。
■宇宙空間は脳にダメージを与える?
実験でネズミを宇宙空間に存在するのと同レベルの放射能に被爆させたところ、64%に深刻な注意力の欠落が発生した。また、衝動性の増加は45%、反射の遅れが27%に見られた。放射線に敏感なラットは、被爆から50日間から60日間後に脳ダメージを示した。しかし興味深いことに、研究者は障害の程度と放射線量は関係ないことを発見した。放射能への被爆後のダメージの違いは、個々の回復力によるものだった。その為、大量の放射線を浴びても問題の無いラットもいれば、少量の放射線で障がいを起こしたラットもいたと言う。
メリーランドのジョン・ホプキンス大学のロバーツ・ハインツ博士は、「同じ事が人間で起こると証明された場合、科学者は脳が永久的なダメージを受ける前に、脳のどの部分が放射線の影響を受けやすいのかを識別する必要がある」と語る。
ジョン・ホプキンス大学のチームは、ラットの被爆実験後、宇宙飛行士、パイロットや兵士が任務前に受けるのと同様の適合性実験をラットに行った。この種のテストでは、宇宙飛行士は手に装置を持ち、LEDライトが点くとスクリーンをたたく。正常な反応は0.3秒以下とされている。実験されるラットも同様のテストで、どのくらい早く反応するかを調べた。すると、研究リーダーのロバート・ハインツ博士によると、被爆したラットの40~50パーセントは深刻な注意力欠如を示したが、残りのラットには影響が見られなかった。
月面へのアポロ計画は例外だが、通常、国際宇宙ステーションは地球の磁場の保護が続くじゅうぶんに低い軌道で飛ぶので、宇宙飛行士は放射線の有害な影響をさほど受けない。しかし、将来の火星への飛行になると日時も長く、宇宙空間の放射線に曝される量も多くなることが予想される。
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