最下位レベルの教育!? 開催反対デモ頻発のブラジルが抱える、深刻な社会問題
W杯ブラジル大会の開催まで1カ月を切った。日本を含めた出場国の代表選手も発表され、世界中がいよいよ盛り上がりを見せる中、現地では開催に反対するデモが頻発しているという。最大の都市サンパウロでは1万人以上がデモに参加し、一部が暴徒化したり略奪行為に及んでいると伝えられている。今後もデモは続けられる見込みで、W杯開催への影響を懸念する声も出始めた。
近年の著しい経済発展の裏で、ブラジルでは様々な社会問題が顕在化しているとされ、人々の不満や怒りが噴出していることがデモの背景にあるようだ。参加者たちの訴えは、教育と医療の充実から、交通機関や住宅の整備までと幅広い。誰もが知るサッカー大国であるにもかかわらず「W杯よりも大切な問題がある」との声が上がる現状をみるに、ブラジルの社会問題は極めて深刻であることがうかがえる。
ブラジルでは、昨年開催されたコンフェデレーションズカップの開催期間中にも大規模なデモが発生。その参加者たちの中心には、多数の学生が含まれていたとされるが、数々の社会問題の中でも、特に教育問題は深刻だとの指摘がある。そして実際、そのことは数字にも表れているのだ。
■ブラジルが抱える教育問題
OECD(経済協力開発機構)が今月5日に発表した、加盟国36カ国の教育ランキングでは、ブラジルはメキシコに次いで最下位から2番目に位置している。学歴や能力、教育年数などの項目別でも最下位レベルに留まっている上、男女による格差も存在している。このランキングだけを見ても、ブラジルの教育には改善の余地が大きいと言えそうだ。
さて、教育問題をはじめとする人々の怒りを収束させ、ブラジルは無事にW杯の開催を成功に導くことができるのだろうか。スポーツ大臣のアルド・レベロ氏は、BBCのメールインタビューに対して「サッカーはブラジル国民のアイデンティティーの一部になっています」「世界中のチームが到着して、いざ試合が始まれば、人々は抗議活動などよりもパーティームードに包まれることでしょう」と答えるなど楽観的だが、実際はどうなるのだろう。来月12日まで、残された時間はわずかだ。
(モンペ・アザブジュバーン)
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