やはり携帯電話はガン発症リスクを高めると判明! 米政府が発表した電磁波の“真の影響”とは?
携帯電話が普及し始めてからというもの、放出される電磁波が人体に何らかの悪影響を与えているのではないかという議論が幾度となく繰り返されてきた。公共交通機関内の優先席付近での携帯電話使用がペースメーカーに悪影響を及ぼすとして口論になった事件も記憶に新しいところだ。しかし、2015年総務省は当時使用されたいた25種類のペースメーカーについて調査したところ、携帯から発せられる電磁波の影響は無視できるレベルであるとの見解を明らかにしている。
日々進化している携帯電話であるが、電磁波の影響については一体どっちなんだとユーザーは翻弄されっぱなしの状態が長く続いているのが現状である。我が国でもスマート・フォンの普及率が9割になろうとしている今、二転三転する電磁波論争に終止符が打たれるかもしれない恐ろしい実験結果が米国「The Wall Street Journal」紙にて発表されたのだ。
■電磁波は脳腫瘍や心臓ガンと密接な関係があった
長きにわたって人体への影響が議論されている携帯電話、ここにきてその論争に終止符をうつべく米国政府は10年ほど前より研究チームを組織し調査、研究を重ねてきた。まだ断定的な結論を出すには数年かかるとしながらも、電磁波の悪影響を懸念し今回の公表に踏み切ったものとしている。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究チームが携帯電話から発せられる電磁波を1週間にわたって1日9時間放射し続けたところ、携帯電話から発せられる電磁波がガン発症のリスクを高めることをつきとめた。特に心臓や、記憶や情報伝達をつかさどる神経細胞「ニューロン」を支えるグリア細胞に悪性の腫瘍ができやすいことがマウス実験から分かったのである。NIHは1887年に設立された合衆国で最も古い医学研究の重要な拠点であり、政府としても信頼を置いている機関だ。
研究チームの学者は、「携帯電話の電磁波とガン発症のはっきりとした関係性についてはもう2、3年の研究が必要になると思います。この実験結果をそのまま人間と置き換えることはできませんが、それでも人体に何らかの影響があるという可能性は今のところ否定できません」と、語っている。
実際に研究に参加しているNIHのジョン・バッチャー博士は、「年々進化のスピードが急速に上がっている携帯電話だけに最終的な答えを出すためには、専門的な知識と多くの研究が必要である。しかし、今回このような形で暫定的な研究結果を公表したのは、いち早く国民に事実を知らせる義務があると考えたからだ」と、チームリーダーの立場から答えた。米政府が主導する実験で暫定的ながらここまで公表するということは、もしかしたらもっと恐ろしい事実が隠されているのかもしれない。
ちなみにやや古いデータであるかもしれないが、2011年にWHO(世界保健機関)の指摘するところによれと、30分の使用は発ガン性のリスクを40パーセント増すと警告しており、携帯電話の使用頻度を減らしたりハンズフリー機器の使用を推奨していた。もちろん携帯電話の使い方や頻度にもよるだろうが、何らかの影響は確実にあるものの、それが健康を害するリスクとして無視できるレベルかどうかはっきりするまで我々ユーザーも慎重になったほうが良さそうである。
■メスの方が電磁波に耐久性があった!電磁波は長寿の秘訣?
この実験においてわかったのは発ガン性との関係だけではない。なんと、電磁波にさらされたマウスのうち悪性の腫瘍が発見されたのはオスだけだったのである。詳しいメカニズムはまだ明らかになってはいないが、メスのほうが電磁波に対する耐性があることを示唆していると見て良さそうだ。バッチャー博士は、「同条件の耐性実験でオス、メスのどちらかだけに反応が見られるということは珍しいことではない。しかし、今回の研究結果でメスのマウスに腫瘍が発見されなかったのは何故なのか解明を急ぎたい」と、述べている。
さらに驚くべきことは、電磁波にさらされたマウスは電磁波から隔離されたマウスよりも長生きしたということである。これが直接人間にも当てはまるのであれば、発ガン性というリスクを伴うものの、電磁波をある程度浴びた方が長生きするということである。将来的に発ガン性のリスクをなくすことができれば、携帯電話は長寿の秘訣になるかもしれないのだ。NIHでは2017年をめどに最終的な研究結果を発表したいとしている。
こういった結果に当然黙っていられないのは業界団体の移動体通信・インターネット協会(CTIA)である。「携帯電話が一般的に使われはじめて30年になるが、電磁波で脳腫瘍ができたという報告は1例もない。さまざまな実験によって携帯電話から発せられる電磁波が人体に影響がないことはすでに明白だ」と、抗議声明を発表している。
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