宇宙人の建造物と呼ばれる星・ダイソン球「KIC 8462852A」の真相が明らかに!? 不規則に急減光する星の謎とは?
唐突かもしれないが、“ダイソン球”をあなたはご存じだろうか? ダイソン球とは、1960年にアメリカの物理学者フリーマン・ダイソン氏によって提唱された仮説上の人工構造物の名称である。氏は、高度に発達した文明は恒星の発するエネルギーを余すことなく利用するために、その恒星自体をすっぽりと卵の殻のように覆う構造物を建設するであろうと考えた。これがダイソン球である。
さて、恒星をすっぽり隙間なく覆ってしまうと、当然エネルギーが内部に蓄積する。この蓄積されたエネルギーは熱となりさまざまな問題を引き起こすことが予想されている。それがため、ダイソン球は定期的、あるいは不定期的にエネルギーを放出しなければならない。その有効な方法の一つが赤外線放射だと考えられており、このことから、宇宙空間のイレギュラーな赤外線放射のサインをキャッチすることで、地球外文明を発見できるとも期待されている昨今である。
■2015年に発見された疑惑のダイソン球「KIC 8462852A」その意外な真相とは?
で、ここからが本題なのだが、なんと2015年9月、これこそダイソン球ではないかと疑われる星がついに発見されたのだ。公式には「KIC 8462852A」、通称「タビーの星(タベサ・ボヤジャン氏が発見したため)」は地球から1480光年離れた宇宙で、不規則な減光の挙動が確認された。加えて、このKIC 8462852Aは一度の減光で明るさが20%前後も減少するのだが、これは通常考えられないことだった。
このことから何かしらの超自然的な作用、もっといえば地球外生命体の存在、さらにいえばその地球外生命体がKIC 8462852Aをすっぽり覆うように建造したダイソン球ではなかろうかという声が上がったわけである。以来、約2年間にわたってKIC 8462852Aの不規則で大幅な明滅をどう合理的に説明するか、あるいは本当にこれがダイソン球なのだろうか、という議論が学者のみならず世間をも巻き込んで活発になされてきたのだが、先日、とうとう一つの仮説が発表されたのである。
コロンビア・アンティオキア大学のマリオ・スゼルキア氏と彼の研究チームは、土星のような“環(リング)”を伴った星がKIC 8462852Aのまわりを回っているということで、一連の現象を説明できるとしている。
その土星型の星はKIC 8462852Aのまわりを回りながら「環→星本体→環」の順番で光を遮ることになるが、地球から観測した場合、その環が“傾いている”ため、軌道の位置によって環が光を遮る角度が変化して、一見、なんの規則性もなく明滅しているかのように私たちに錯覚させているのだという。
■天文学に新たな1ページを刻む発見か
また、スゼルキア氏と研究チームの綿密なシミュレーションによると、その土星型の星はそれ自体が環を引き寄せる力を持ち、それにより環が“ぶれる”ことがわかったという。この“ぶれ”がKIC 8462852Aからの光を不規則に遮り、もって明滅をさらに不規則なものに見せているとのこと。
説明されてしまうと、実にあっけないものである。高度に発達した地球外文明という実にロマン溢れる話は、またもや未来に持ち越されてしまったのかもしれない。しかし、その一方で、今回の仮説は、天文学に新たな1ページを刻むのではないかとも言われている。
KIC 8462852Aのまわりを回っていると思われるこの星の研究を進めることにより、土星のように環を伴った星々の原始の姿が明かされるかもしれないというのだ。それも大いにロマンのある話じゃあなかろうか。そうやって日進月歩で進化と成熟を遂げ続ける科学が必ずやいつの日か、宇宙の神秘を解き明かし、私たちをエイリアンとの接触に導いてくれることであろう。
参考:「Express」、「Daily Mail」、ほか
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