権威ある学術誌で発表「地球の生命は地球外からやって来た、しかも…」 パンスペルミア説ほぼ確定、衝撃の“宇宙生命拡散システム”発見
地球上のあらゆる生命の起源はどこにあるのか――? 最新の研究では、どうやら私たちは宇宙からやって来た可能性が濃厚になっているという。
■大気圏上層部では宇宙空間との活発な“交流”がある
太古の昔、地球上で分子レベルの何らかの化学的変化が起き、最初の生命が誕生したとする考えは至極まっとうに思えるが、生命は宇宙から地球に運ばれたという「パンスペルミア説」も有力な仮説として科学界で真剣に検討されてきた経緯がある。そして今回、このパンスペルミア説をさらに強力にサポートする研究成果が発表された。
ご存知の通り、地球は大気圏によって宇宙空間から頑丈に守られている。時折、隕石などが燃え尽きずに地表まで落ちてくることもあるが、分厚い大気圏は、基本的には極めて強固に、宇宙から飛来するさまざまな脅威から我々を保護してくれていると考えられている。
しかし先日、権威ある学術ジャーナル『Astrobiology』で発表されたエディンバラ大学アルジュン・ベレラ教授の研究論文では、大気圏上層部では宇宙空間との“交流”がこれまで考えられてきた以上に活発に行なわれていることが指摘されている。我々が想像していた以上に、宇宙空間を飛び交う物質は大気圏を通り抜けて地上へと降り注ぎ、また地球上の物質も宇宙空間へと放出されているというのである。そしてその中には“生物”も含まれるというのだ――。
この研究の前提になっているのは、宇宙空間をきわめて高速で飛び交う“宇宙ダスト”の存在である。なんと1日あたり105kgもの宇宙の“塵”が、秒速10~70kmもの速度で地球に降り注いでいるということだ。そして成層圏の上層部(熱圏)には宇宙ダストの急流が形成されており、もしもここに地球由来の物質などが届けば、ダストの急流に後ろから衝突されるとともにすさまじい推進力を得て、宇宙空間へと放たれるメカニズムがあるというのだ。
これはつまり、もしもこの地上から舞い上がった物質がウイルスや微生物、クマムシのような緩歩動物(tardigrade)だった場合には、地球由来の“生物”が宇宙空間へと放たれていくることを意味する。
こうして宇宙空間に放たれた“生物”は、ベレラ教授の試算によれば数十億年の間に、なんと3万光年ほど移動する可能性があるということだ。つまり、数十億年で地球由来の“生物”が銀河系の大部分に行き渡る計算になる。何も高性能な宇宙船を建造しなくても、ある意味で我々の生命はすでに“宇宙進出”していたことになる。
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