原因と結果は逆になります。 真実の因果関係と時間秩序を量子重力理論が暴く!
「時間的順序あるいは因果関係がそのままである状態と、逆転する状態が“量子的重ね合わせ”で同時に存在するシナリオを考案することができます。量子重力理論が完成できれば、この現象は起こるはずです」と研究チームの イゴール・ピコフスキ氏は語る。
■「AはBの前にあり、別の場合にはBはAの前にくる」
アインシュタインの一般相対性理論では、質量が大きく重力が強いものの近くでは時間が遅く流れると考えられている。実際、地球からある程度離れた衛星軌道上にあるISS(国際宇宙ステーション)の中などでは、ごくわずかながら地球上よりも時間の流れが早く、実際に計測が可能である。例えば、もし大質量ブラックホールに吸い込まれるとしたら、その経験は、まるでスローモーションのようにゆっくりした出来事になると考えられている。
したがって、我々の未来の宇宙船が質量が大きい巨大な惑星の近くを訪れた場合、その乗組員は遠くにいる仲間の宇宙船の人々よりも少し遅く流れる時間を経験することになる。そしてこの現象に量子論的な解釈を加えると、この巨大惑星は、近くの宇宙船と遠くの宇宙船の2隻を“量子的重ね合わせ”の状態にしているのだと研究チームは定義づけたのだ。
地球から宇宙へと航海に乗り出した2隻の宇宙船だが、この状況では時間の流れが異なった状態にある。ということは2隻の間の時間が関係する出来事が実に不安定な状態に成り得るのである。
軍事演習の一環で、この2隻の宇宙船がお互いに演習用ミサイルで同時に撃ち合う訓練を実施したとする。もちろん近くに大きな惑星がない宇宙空間では極めて単純な訓練になるだろう。
しかし片方の船が大質量の惑星の近くにあって時間の流れが遅くなっているとすれば、訓練の前提が壊れてしまうことになる。おそらく正確に射撃することが不可能になってしまうだろう。
さらに原因と結果は逆転する可能性があるとピコフスキ氏は指摘している。つまりミサイルを発射した後に命中する(あるいは命中しない)ばかりでなく、命中した(あるいは命中しない)後にミサイル発射ボタンを押すことが起こり得るというのだ。
「AとBは相互に影響を与えることができますが、ある場合にはAはBの前にあり、別の場合にはBは“量子的重ね合わせ”の状態からAの前に来ます」(ピコフスキ氏)
将来の宇宙旅行に懸念が生じる話題だが、しかしながら幸いなことに、こうした現象が起こり得るのだという前提に立てば、数学的な計算でこの“時差”を修正できるはずであるとピコフスキ氏は言及している。そしてそうした知見が、将来の量子コンピューティング技術の発展に大きく寄与するということだ。
来るべき夢の量子コンピューティング時代は、今の人類に残された数少ない希望の1つであり期待は膨らむばかりだ。
参考:「Live Science」ほか
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2024.10.02 20:00心霊原因と結果は逆になります。 真実の因果関係と時間秩序を量子重力理論が暴く!のページです。物理学、量子論、時間、仲田しんじ、シュレーディンガーの猫、量子コンピュータ、量子重力理論、因果関係などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで