「幽霊や妖怪を見たとき」の８つの診断ポイントを亜留間次郎が医学的に解説！「若おかみは小学生！」も科学的に検証！　

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■妖怪・幽霊の診断基準

　医師は幽霊や妖怪が見える患者が来た場合、どんなものが見えるのか真面目に話を聞かなければなりません。

　高知大学脳神経内科の古谷博和教授の研究によると、日本に伝承されている怪談のうち、精神疾患によるものは34％に過ぎず、残りの66％が脳神経疾患によるものだそうです。幻覚の見え方によって病気を疑う部分が全く異なり、脳神経疾患か精神疾患かで検査も治療も担当する専門医もすべて異なるため、単純に「幻覚が見えるから精神病」と決めつけると医療ミスになります。

　幽霊を見た患者に対して医師が順番に確認すべきチェックポイントがあります。脳神経疾患の診断は検査で判断できる部分が少なく、病歴の調査と問診が中心になるため、このチェックが重要になります。

1. 幽霊の姿がはっきり見えたか確認する
2. 幽霊に足があったか見え方が明瞭か不明瞭だったか確認する
3. 幽霊が出たのはいつごろか時刻とその時の体調を確認する
4. 幽霊が何か話したか、一方通行で幽霊が喋っているだけか、会話が成立しているか確認する
5. 幽霊を見た時に怖かったか、恐怖心や不安感があったか確認する
6. 片頭痛が起きることが無いか確認する
7. 自分の体の長さや形に大きな違和感を感じたことが無いか確認する
8. 患者が絵が描ける場合は幽霊の絵を描いてもらったり、具体的な幽霊の姿や特徴を聞いて患者の主観的に見えている物を理解する

　では、若おかみ・おっこについて考えてみましょう。

1. はっきり見える
2. 足があり全体像が鮮明である
3. 常に見える
4. 幽霊と会話が成立している
5. 幽霊に対して恐怖や不安を感じない
6. なし
7. なし
8. 具体的な固定された人間型の姿形がある。

　幽霊や妖怪が不明瞭な姿で足などが見えない場合は、両親の事故死による心的外傷が原因の幻覚になり、俗に言う寝ぼけてた状態で見た幽霊と同じになるので除外されます。

　年齢的に統合失調症や解離性同一性障害はイマジナリーフレンドと鑑別が出来ないために除外されますが、別の理由からイマジナリーフレンドである可能性も除外されます。なぜなら、祖母を初め周りの人間に見えないことを、若おかみ自身が明らかに自覚して行動しているからです。

　イマジナリーフレンドの場合、本人は第三者にも見えていると思い込んで行動しているので、若おかみは明らかに異なります。精神疾患によって見える幻覚は、当人の主観的に実在している物と区別ができず、他者には見えないと思いません。成人が妄想によって作り出したエア嫁など、自分にしか見えない妄想の産物で非実在であることを自覚している場合は病気ではありませんが、若おかみは幽霊が他者に見えないことを自覚しながらも実在していると確信しています。

　以上の所見から、幽霊のウリ坊達は座敷童や守護霊などと同じ症状であり、若おかみには「血管性認知症」の疑いがあります。若おかみは精神科ではなく脳神経内科で診てもらう必要があると考えられるので、自分が小児科医や精神科医であれば脳神経内科医に応援を頼みます。

　当たり前ですが、全ての分野に精通した天才医師は実在しませんし、目指してもたどり着けません。しかし、どの専門家に応援を頼むべきか判断できれば、目の前の患者をチーム医療によって治療することができます。

　どうあがいても万能になれない人間にできることは、誰に助けを求めるべきか正しく判断できる能力を身につけることです。

　ちなみに、とある教祖様は守護霊を呼び出して話ができると主張していますが、これが演技ではなく本気なのであれば、若おかみと同じタイプの脳神経疾患です。

 
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