お岩さんと浮気の知られざる関係とは? ドラマ「妖怪シェアハウス」登場妖怪を民俗学者・畑中章宏が大解説!

 しかし、妖怪たちはこのドラマのなかでただ妖怪をやっているだけではなく、社会生活も営んでいるようである。たとえばお岩さんはナースで、酒呑童子はオークション会社に勤務、座敷童子はシェアハウスの寮母(つまり子どもではない)、ぬらりひょんは弁護士兼経営コンサルタントとして暮らしている。またシェアハウスの大家は隣にある荒波神社の新人神主で、陰陽師の末裔という設定だがどんな役割を果たすのだろう。

 このドラマでは、毎回ある妖怪が話の中心になるらしく、第1話ではシェアハウスに住むお岩さんをめぐって展開するようだ。

 鶴屋南北作の歌舞伎『東海道四谷怪談』の主人公のお岩さんは、父の敵(かたき)でもある夫に裏切られ、毒を盛られて凄まじい形相になって悶え死ぬ。そして、幽霊となったお岩さんは夫を苦しめ、怨み殺すのである。

画像は「Wikipedia」より引用

 お化け界屈指のヒロインであるお岩さんの人気(?)は、東京都内の複数の神社仏閣で祀られていることがなによりの証拠だろう。新宿区左門町に「於岩稲荷(おいわいなり)田宮神社」と「於岩稲荷陽運寺」、中央区新川にも「於岩稲荷田宮神社」がある。左門町の於岩稲荷はお岩さんの実家の跡地で、明治時代に火災で焼失して新川に移ったがその後に再興された。

 お岩稲荷がいくつもできたのは、男の浮気封じに効くというご利益から、お賽銭のほかにも土産物などで儲かったからなんだそうである。そのためなかには、また別のお岩稲荷を作ろうと画策したものがいたというのだから、お岩さんの人気のほどがわかる。

 お岩さんの決め台詞はなんと言っても「うらめしや~」である。このお化け界でも指折りの名台詞が、21世紀の日本で、どのようなタイミングで発せられるのか。真夏の夜にこれまでにないユニークな“物怪録”が展開されることに期待をしたい。

文=畑中章宏

●畑中章宏(はたなか・あきひろ)

1962年、大阪生まれ。民俗学者・作家。
著書に『災害と妖怪』(亜紀書房)『天災と日本人』(ちくま新書)『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)『死者の民主主義』(トランスビュー)など。民俗学をベースに災害や妖怪、民主主義など現代の問題を論じる気鋭の民俗学者。最新刊『関西弁で読む遠野物語』が発売中。

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