【未解決】『豊田市女子高生殺害事件』残された結束ベルトに違和感…犯行に垣間見れる“一致しない犯人像”
事件の概要は前編へ
まず、大枠として、犯人がいわゆる「変質者タイプ」であると考えること自体は、筆者もほぼ同じ見解である。しかしこうした犯人の多くは、意外と用意周到に手はずを整えて犯行に及ぶタイプが多い傾向にあることを思えば、やや腑に落ちない点もある。というのも、そもそもこの手の事件は、普段は一見、草食系ともいえるような、真面目で穏やかそうに見えるタイプが引き起こすケースが目立つからだ。要は基本が小心者であるがゆえに、犯行に際しても慎重に行っているというわけである。
だが、そうした観点に基づいて本事件をみると、そうした人物像とは必ずしも一致しない、やや慎重さに欠ける部分があることに気付かされる。たとえば現場には犯人の所持品と思しき結束ベルトなどがあまりに無造作な形で残されていた。指紋が検出されなかったことから、犯行に際しては手袋をはめていたと思われるが、なぜ手袋まではめるような人間が、このようなものを無造作に放置したまま逃走したのだろうか。
これがまだ血の付いた刃物などならば、「事件と自分を早く遠ざけたい」という一心で捨て去ることもまだ理解できるが、結束ベルトである。しかも、仮に本事件を引き起こした犯人が、1カ月前に起きた女子高生の押し倒し事件と同一犯であるか、同一犯でなくとも事件発生について知っている近隣住民であった場合、周辺をパトロール中の警察官に遭遇する可能性を考慮せずに、犯行現場に選んでしまうというのは、本来ならばまず有り得ないだろう。その点についても、筆者は首を傾げてしまうのだ。
こうした点などから、筆者は本事件の犯人像について、まず、土地勘のある地元民ではなく、いわゆる「流しの犯行」である可能性を感ぜずにはいられない。たとえば2004年に発生し、そこから14年もの時が流れた2018年に犯人が逮捕された『広島・廿日市市女子高生刺殺事件』においては、逮捕後の公判で「下校中と思われる女子高生を見かけて……レイプしようという考えになりました。そういうことをできる相手を探すようにして、原付で走り回りました」と犯人が供述している。勿論、被害者との面識はなく、たまたま家に入る姿を目撃したに過ぎないのだという。仮にそうしたタイプの犯人が本事件を引き起こしたのであれば、前述した不自然(というか、独特な杜撰さ)が垣間見られるのも頷けるし、事件が未解決なのも理解できる。15キロも離れた場所でスクールバッグを捨てたのも、「移動中に捨てた」と考えれば辻褄が合うだろう。
無論、これらはあくまで筆者の推測を元にしたある種の妄想でしかないのだが、本連載でもしばしばお伝えしているように、固定観念というものは、得てして事件を解決から遠ざけてしまう性質を持っている。願わくばこの記事をキッカケに、これまで浮上しなかった真相の断片が現れてくれることに期待したい。
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