20年間鎖に繋がれ監禁されていた女性が救出される! かつて日本では精神病者の監禁が合法だった? 1~2坪の劣悪な環境で…

 母親によって金属製の牢屋につながれていた女性が救出され、20年間も監禁されていたことが判明した。

 2月9日、ブラジルのエスピリト・サント州にある物件の寝室で、足を鎖で縛られ、両手を縛られているロシナルバ・ダ・シウバ(39歳)が発見された。そこは金属製のドアで固く閉じられ、小さなガラス窓から光が差し込むだけの暗く薄暗い独房だったという。

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画像は「Daily Star」より

 警察官たちは、ロシナルバさんが脱水症状を起こし、空腹であることにすぐに気づいたため、手首に固定された鎖を外す間もなく、敷地から連れ出したそうだ。

 彼女はすぐに地元の病院に運ばれたが、精密検査のためより大きな地域病院に移送された。重度の栄養失調であることがわかり、今も医療スタッフによる観察が続けられている。

 また、長年の虐待の結果、特に十分な量の食事をとれない期間が長かったため、他の合併症を患っている可能性もあり、今後入念に検査されるとのことだ。

 地元の警察署長カルロス・ブラガは、ロシナルバさんの母親を逮捕したと発表。警察がロシナルバさんの独房に足を踏み入れた時、母親は飲酒していたという。また関連して匿名の男性も逮捕されたとのことだ。

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画像は「Daily Star」より

 現時点でわかっているのは、ロシナルバさんが2人の子供を失った後、精神疾患を患うようになったため、母親が自宅内に監禁したということだ。

 警察によると、ロシナルバさんは精神的苦痛を感じるようになり、暴れたり攻撃性を示したりするようになったため、母親は彼女をコントロールする「唯一の方法」として、薄暗い部屋に閉じ込めておいたという。

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画像は「『精神病者私宅監置ノ実況及ビ統計的観察』(国立国会図書館デジタルコレクション)」より

 この母親の非人道的な行為は許されるものではないが、実は日本も精神障害者を自宅の一室や敷地内の小屋などに閉じ込め、監禁する「私宅監置」が、1950年までは合法的に行われていた過去がある。『精神病者私宅監置ノ実況及ビ統計的観察』(1918年)によると、監置室は1~2坪のものが約60%で、極めて悲惨な環境だったという。

 私宅監置と同様の監禁は世界中からたびたび報告されている。たとえば、45歳の女性が村人らにより25年間も監禁されていたことが2020年にフィリピンで発覚した。この女性は精神的な障害を抱えており、一人で外出すると交通事故などの危険があるため、村人らの好意で監禁されていたという。

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 また、スウェーデンでは母親に28年間も監禁されていた栄養失調の41歳の男性が救出されている。母親は1991年に12歳だった息子を学校から退学させ、息子をアパートメントに閉じ込めていたと考えられている。

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 19世紀にはパリ社交界を魅了したブランシュ・モニエという美しい女性が母親と兄弟により25年間も屋根裏部屋に監禁される事件が起こった。監禁の理由はブランシュを婚約者と別れさせるためというとんでもないものだった。ブランシュは監禁中に統合失調症、コプロフィリア(糞便愛好症)を発症、神経性食欲不振、認知能力の低下なども加わり、亡くなるまで精神病院で過ごした。

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 貧しい地域では精神病患者を病院に連れて行く発想や、金銭的余裕がないことが長期的な監禁に繋がるといわれている。そのため、監禁した親族を一方的に非難できるケースばかりではないのが厄介なところだ。インドネシアやフィリピンなどで徐々にメンタルヘルスケアの重要性は認知されてきているというが、今回の一件を見るにまだ十分ではないようだ。

参考:「Daily Star」「公益社団法人 日本精神神経学会」「『精神病者私宅監置ノ実況及ビ統計的観察』(国立国会図書館デジタルコレクション)

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文=S・マスカラス(TOCANA編集部)

3代目TOCANA編集長
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