キスマークだけで人は死ぬ! ラブバイト(愛咬傷)で脳卒中になった人々の事例

 メキシコ人の少年が17歳の若さで急死した。その死因はなんとキスであった――。

キスが原因で死亡した少年

 最近になってTikTokに投稿された動画では、2016年にキスマークが原因で亡くなったメキシコ・イスタパラパ出身の17歳の少年、フリオ・マシアス・ゴンサレスの悲劇的なストーリーが語られていて話題だ。

 2016年8月25日、フリオは24歳のガールフレンドといちゃいちゃしているときに首にキスマークをつけられたが、彼は何も気にしなかった。結局のところ若い恋人たちは常習的にキスマークをつけあっており、多くにとってそれらは他愛もないことであると考えられている。

 このティーンエイジャーの少年にとって知る由もないことであったが、きわめてレアケースとしてキスマークが致命的なものになる可能性があるのだ。

キスマークだけで人は死ぬ! ラブバイト(愛咬傷)で脳卒中になった人々の事例の画像1
「Oddity Central」の記事より

 日中のデートの後、2人はフリオの家に戻り家族と夕食をとったと伝えられている。そして晩餐の途中、突然フリオは椅子から倒れ、けいれんを起こして床の上で悶絶したのだ。

 両親はすぐに救急車を呼び、救急隊員はすぐさま家にやってきて病院に運ばれたもののフリオを救う術はなかった。この後、不幸なことにフリオの死亡が確認された。

 その後の解剖により、フリオ・マシアス・ゴンサレスの死はなんとキスマークが原因であったことが判明したのだ。「愛咬傷(love bite)」としても知られるこの症状は、皮膚の下の小さな表在血管が破裂するほど皮膚を強く長く吸うことによって生じるあざのような跡である。フリオの場合、吸引により血栓が生成され、それが最終的には脳に到達して脆弱な血管の1つが詰まり、血管が破裂したと伝えられている。

 フリオの死後、複数の新聞が彼の年上のガールフレンドが失踪したと報じた。当時、彼の両親は彼の死の責任は彼女にあると述べ、年齢差があるため実は2人の関係を認めていなかったことを明らかにした。彼女が起訴されたかどうかは不明である。

 TikTok動画では元の情報源が示されておらず、この事故が事実であるのかどうか若干の疑問を抱かせるものになっているが、グーグル検索で信頼できる報道機関からの 2016年の記事がいくつか見つかり、それらの記事はあまり多くの情報を提供していないものの、少なくともこれが実話であることの証左となっている。

激しいキスで左腕が動かなくなった女性

 キスマークが脳卒中に結び付けられたのはこれが唯一のケースではない。遡ること2011年、イギリスの「Telegraph」紙は、首筋の動脈の近くにキスマークがあったために左腕が動かなくなったニュージーランド出身の44歳の女性の症例を報じている。

 44歳の女性は突然左腕が動かなくなり、オークランドのミドルモア病院の救急外来に運ばれた。軽度の脳卒中と診断した医師らは、強力な抗凝血薬であるワルファリン(ワーファリン)で彼女を治療することにした。

 しかしどうしてこんなことになったのは医師ら困惑していたが、彼女の首の右側の主要動脈近くに小さな打撲傷を発見したのだ。

 女性はそれはキスマークであり、数日前に付けられたものだと話した。

キスマークだけで人は死ぬ! ラブバイト(愛咬傷)で脳卒中になった人々の事例の画像2
画像は「Pixabay」より

 女性を治療した医師の一人であるテディ・フー医師は、「愛咬傷はかなりの吸引力があったでしょう」と説明する。あまりにも激しいキスであったため血管内に少し傷ができるほどで、運悪くキスマークがある場所の下の動脈に血栓ができたとという。

 フー医師は、血栓がはがれて女性の心臓に移動しさらに脳に到達して軽度の脳卒中を引き起こしたと話す。

 ワルファリンによる治療により、血栓は1週間以内にほぼ完全に消失し、女性は腕の動きを取り戻したという。もし迅速に治療されていなかったら、彼女はさらに重い脳卒中を患っていたかもしれない。

「私たちは医学文献を調べましたが、愛咬傷でそのような症状が引き起こされたという例はこれまでに記載されていませんでした」とフー医師は語る。

“死ぬほど愛して”というコンテンツタイトルがいくつかあるが、いろんな意味で愛しすぎて相手を傷つけないようにしたいものである。

参考:「Oddity Central」「The Independent」「Telegraph」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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