「2頭の象を運ぶ巨人」が描かれたヌビアのフレスコの謎! 長さ35cmの巨人の指が実在か

 現在のスーダンの領土、紅海のほとりに、古代にはヌビアと呼ばれる地域があった。ヌビアの歴史は古代エジプトと密接な関係がある。

 この地域には、保存状態の異なる約250の古代ピラミッドがある。その多くが破壊されたのは、19世紀にヨーロッパ兵がやってきたときだ。

 これらの建造物は、メロエ王国(別名クシュ)にちなんでメロエ・ピラミッドと呼ばれている。古代エジプトのものよりもはるかに小さく、エジプトのピラミッドほど古くはないと考えられている。科学者によれば、エジプト人がピラミッドの建造をやめてから約800年後に建造されたものだという。

 古代エジプトのピラミッドと同様、メロエのピラミッドも支配者や庶民の生活を描いたさまざまなフレスコ画で豪華に装飾されている。1821年、フランスの鉱物学者フレデリック・カイリューがこのピラミッドを初めて調査し、その際に非常に不思議なフレスコ画に出会った。

 このフレスコ画には、2頭の象を肩に乗せた、実に巨大な男が描かれている。しかも象には牙があり、完全に成長した個体であることがわかる。その人物は、神や神話上の怪物ではなく、ごく普通の人物に見える。彼は服を着ておらず、奴隷か貧民のように見える。

「2頭の象を運ぶ巨人」が描かれたヌビアのフレスコの謎! 長さ35cmの巨人の指が実在かの画像1
画像は「Anomalien.com

 研究者によれば、彼の顔の特徴はエジプト人というよりコーカソイドであり、髪は黒ではなく金髪である。金髪が単に時間の経過による退色の結果ではないことは、両ゾウが明らかに黒っぽいことからも明らかである。

 この点で、紀元前79年のローマの歴史家ヨセフス・フラウィウスの『ユダヤ古代誌』によると、最後のエジプトの巨人はユダ王国のヨシヤ王の治世(紀元前7世紀)に生きていたと書いている。

 フラウィウスは、これらの巨人について、大きな体と普通の人とはまったく異なる顔を持ち、「見るには驚き、聞くには恐ろしく、その大声はライオンの咆哮のようであった」と記している。

 さらに、古代エジプトの埋葬のどこかで発見されたとされる巨人のミイラ化した指の話も思い起こされる。1988年、スイスの企業家で古代エジプト愛好家のグレゴール・シュペリは、古代の埋葬地を略奪していたエジプトの「黒い考古学者」の一団に出くわした。

 彼らはシュペリをナギブという農夫のところに連れて行き、彼は布切れに包まれた巨大な人間の指のミイラを見せてきたという。

 ナギブの先祖は代々の墓荒らしでもあった。その指は150年ほど保管されていたもので、数人にしか見せずに大切にしていたそうだ。ナギブは経済的に困窮していたため、シュペリに指の写真を300ドルで売ることを提案した。

 指の長さは35センチ、太さは6センチもあった。

 指を注意深く調べた後、シュペリはそれが偽物ではなく、本物の生物のものであることに気づいた。指は何か鋭利なもので切り落とされたようで、皮膚には傷ついた形跡があった。

「2頭の象を運ぶ巨人」が描かれたヌビアのフレスコの謎! 長さ35cmの巨人の指が実在かの画像2
画像は「Ancient Origins」より

 乾燥した皮膚の間にはカビの残骸が見え、爪はかろうじて固定されていた。さらに、皮膚にはところどころにネズミに噛まれたような跡があった。スペリーは唖然とした。指の大きさからして、持ち主は少なくとも身長5~6メートルはあるはずだったからだ。

 それでも彼は懐疑的だったので、ナギブは遺骨の信憑性を証明する書類のフォルダを見せた。指のX線写真もあり、骨がはっきりと写っていた。

 ナギブは指の正確な発見場所の公表を拒んだが、「大きな空の墓」があるギザ台地の大ピラミッドの底のどこかに隠されていることをほのめかした。

 シュペリは指の写真を何枚も撮り、ナギブに売るようしつこく頼んだが、彼はきっぱりと断り、また雑巾に包んで指を持ち去った。

 2009年、シュペリは再び同じビア・フッカー市に戻り、ナギブを見つけようとしたが、当時とはなにもかもが変わってしまっており、また当時すでに老人だったナギブは故人となっていた可能性が高く、捜索は失敗に終わった。

 彼は科学者たちに指の写真を見せたが結論は出なかった。一説には身体の一部が肥大化するプロテウス症候群を患っていた者の指ではないかといわれたが、現物がない以上、これ以上のことはよくわかっていない。

『旧約聖書』のネフィリム、シュメール文明の神アヌンナキなどは巨大な姿で描写されてきたが、シュペリが撮影した指と関係しているのだろうか。少なくともシュペリ自身はそう信じており、今も調査を続けているようだ。

参考:「Ancient Origins」「Anomalien.com

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文=S・マスカラス(TOCANA編集部)

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