イギリス最恐の「心霊農場」を襲った300以上の怪奇現象… 若年妊娠で野原に埋められた少女の呪いか?

【概要】

 イギリス・ウェールズ最恐の幽霊屋敷と呼ばれる「ペニフォード農場」では数々の怪異が起こるといわれている。事の発端は18世紀に亡くなった少女の墓を移動したこと。それ以来、ガワー一家は300件以上の怪奇現象に襲われたという。過去にハリウッドで映画化する話もあったが、脚色がひどく一家は依頼を断った。ガワー一家はすでに引っ越しており、現在ペニフォード農場に住む住民は怪奇現象を信じていない。ペニフォード農場についてはすでに過去記事で取り扱っているが、本記事ではさらに詳しく紹介する。

【詳細】

“ウェールズの最恐幽霊屋敷”に再び注目が集まっている。17世紀に建てられたウェールズ北部の人里離れた場所にある屋敷では約300件の超常現象が記録されており、BBCなどの全国ネットで何度も報道されているのだ――。

呪われた“ウェールズの最恐幽霊屋敷”

 1997年、夫のデイビットと妻のメアリー、そして4人の子供のガワー一家が、ウェールズ北部の人里離れた場所にある元は農家の屋敷であった「ペニフォード農場(Penyffordd Farm)」に移り住んだ。この時、この屋敷が“ウェールズの最恐幽霊屋敷”であることを家族は知らなかった。

イギリス最恐の「心霊農場」を襲った300以上の怪奇現象… 若年妊娠で野原に埋められた少女の呪いか?の画像1
ペニフォードファーム 「BBC」の記事より

 数々の“異変”に家族のメンバーはすぐに気づいた。誰もいない部屋でくぐもった声が聞こえたり、人影が現れたり、子供たちの歌う声が聞こえたり、壁に彫刻やシミが現れたりするという現象をそれぞれが体験するようになったのだ。

 一家が当時を振り返ってみると、家の前にあった15歳の少女、ジェーン・ジョーンズの墓石を動かしたことで、超常現象が頻発するようになったと感じているという。

 地元の記録によるとジェーンは1763年に生まれ、1778年に15歳で亡くなり野原に埋葬された。ジェーンは14歳で妊娠し、不幸にも15歳の出産時に死亡したという。早すぎる妊娠を恥ずべきこととした当時の地方行政府によって、地域の墓地に埋葬することが禁じられ野原に埋葬されたのだという。そしてそこはペニフォードファームのすぐ近くであったのだ。

 ジェーンの墓石は、ガワー家が1997年に引っ越して以来、ずっと表の通りにあったが、長女ニコレットの結婚式後の庭園披露宴のために、もっと目立たない場所に移されたのだった。

 墓石が移動された後、あらゆる種類の奇妙な出来事が始まったと家族は語る。

イギリス最恐の「心霊農場」を襲った300以上の怪奇現象… 若年妊娠で野原に埋められた少女の呪いか?の画像2
「BBC」の記事より

 一家の長女、ニコレットがある夜、目が覚めると、子供がいる部屋の隅にある簡易ベッドのそばに人影が立っていて、簡易ベッドを覗いて身をかがめているの見たという。修道僧が着るような衣服を着ていてフードをかぶっていたということだが、そのうちにその場から消えたということだ。

 次女エイドリアンも、ペニフォード農場滞在中にその修道僧を見たと主張し、メアリーは彼女が真夜中に目を覚まして叫び声を上げていた時のことを憶えている。

 ニコレットの夫ユアンは木製のフクロウの彫像が勝手に動いたことが二度あったことを説明している。彫像が離れた場所にあることを目視で確認した時、ユアンは視界の端に不気味な人影が見えたと話している。

 やはりこのペニフォード農場は若くして命を落としたジェーンの霊に呪われているのだろうか。

ハリウッドが興味を持つ

“ウェールズの最恐幽霊屋敷”と呼ばれるようになったこのペニフォード農場にイギリスの公共放送局「BBC」も興味を持ち最近になって4部構成のドキュメンタリー番組『Paranormal: The Girl, The Ghost & The Gravestone』を制作して放映している。

 テレビだけではなく、ハリウッドも一家の話に並々ならぬ興味を抱いているという。

 同ドキュメンタリーでメアリーはアメリカの映画監督たちは自分たちの物語を大ヒット映画のインスピレーションとして求めていたと語る。ハリウッド関係者が一家を訪ねていたというのである。

「私たちには確かにハリウッドに会いました。彼らはこの話を聞き、映画を作りたいと言い、私たちに何千ポンドかを支払うつもりでした。しかし彼らがどのようにそれを行うつもりかを正確に聞いたとき、私たちは『ノーサンキュー、帰ってください、さようなら』と言いました」(メアリー)

 事実を歪曲した完全なエンターテインメント映画として一家の体験を演出する内容であったことにメアリーたちは憤慨したのだった。

「彼らは実話を基にして大量のものをでっち上げようとしていましたが、それはばかげたものになるでしょう。私はそれを決して認めません。そこに実話はあるのか、まったくないのかのどちらかです」(メアリー)

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画像は「Pixabay」より

 ガワー一家は2012年にペニフォード農場から引っ越したのだが、現在の所有者であるマイケルはドキュメンタリーの中で、自分の家に幽霊が出るとは信じていないと語っている。

「超常現象が現実のものである可能性はゼロです。この壁は湿気で浸水していました。湿った壁ならシミができます。クリエイティブな人なら、それを見て『なんと、これは人の頭の写真だ』と言えるでしょう」(マイケル)

 ガワー一家が屋敷を離れたことで、その数々の心霊体験の真偽はいったん棚上げにされた格好になっているが、はたして今後“ウェールズの最恐幽霊屋敷”の伝説が復活することがあるのか気になるところだ。

参考:「BBC」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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