【未解決】預言者一家が惨殺された「オカルト殺人事件」が怖すぎる…囁かれる3つのヤバい可能性とは?
米ミシガン州デトロイトで1929年7月3日、ベニー・エヴァンジェリスタという男性が家族と暮らす邸宅に警官が足を踏み入れた。
ベニーは机の後ろに座っていた。彼の手はまるで祈っているかのように膝の上できれいに折りたたまれていた。しかし、彼の頭はその足元に転がっていた。2階で、ベニーの妻であるサンティーナ・エヴァンジェリスタと夫婦の子供たちが発見された。子供たちはそれぞれマリオが18カ月、アンジェリーナが7歳、マーガレットが5歳、ジャンヌが4歳だった。サンティーナは赤ん坊のマリオと一緒にベッドに横たわっていた。彼女の頭は切断され、マリオの頭蓋骨は押し潰されていた。他の子供たちもベッドの上で惨殺されていた。
後にこの事件は「オカルト殺人事件」と呼ばれるようになった。事件の背景には、アメリカン・ドリームに魅せられ世界各地からやって来た移民がデトロイトに集まる一方、そのほとんどが夢を実現できないまま一生を終えるという過酷な現実があったのだ――。
1904年、ベニーは兄のアントニオとともにイタリア・ナポリから米国へ移住した。兄弟は当初フィラデルフィアに定住し、しばらく一緒に暮らしていた。このときベニーは神秘主義、魔法、秘教に関する書物を読み漁り、オカルトに強い関心を持ち始めた。敬虔なカトリック教徒だったアントニオは、弟のオカルト嗜好に最初は我慢していたものの、やがて堪忍袋の緒が切れてしまう。兄弟は決別し、ベニーは鉄道建設の仕事で生計を立てるためニューヨークに移住した。そこでイタリア人移民のアウレリウス・アンジェリーノと出会い、黒魔術とオカルトに対する共通の関心からすぐに仲良くなった。ベニーとアウレリウスはいつもオカルトについて話し合い、さまざまな儀式を試していた。ところが1919年、アウレリウスは斧を振り回して家族を襲い、2人の子供を虐殺。彼は逮捕されて精神病院へと送られたのだった。
ベニーは悲劇的な事件から距離を置いてもう一度やり直すため、デトロイトへ引っ越して大工となった。やがて貯金を元手にした不動産投資で成功し、不動産業者へと転身。結婚して家族と富を手にした後、オカルトへの興味を再び取り戻すのだった。
ベニーは「スピリチュアル・ヒーラー」を自称し、副業としてあらゆる種類のハーブ、ポーション、パウダー、チャーム、アミュレットなどを販売し始めた。同時に、あらゆる種類の魔術サービスを有料で行った。呪文を唱え、儀式を実行し、動物を生贄にすることさえ厭わなかった。良心的な料金だったため、当時の彼はイタリア系アメリカ人コミュニティで非常に人気があった。彼は自宅の地下に、張り子・針金・木材を使って9つの惑星と太陽の模型を製作。この部屋には祭壇があり、壁にはさまざまな神々や精霊も描かれていた。
当時のベニーは神からのメッセージを受け取れると主張し、自分が預言者であり精神的指導者であると宣言した。神から伝えられた情報を明らかにするため、オカルト的な科学を基にした書籍『世界最古の歴史』の執筆に取り掛かり始めたのもこの時期である。
1929年7月3日、ベニーのビジネスクライアントであるヴィンセント・エリアスが、不動産取引について相談するためベニーの家を訪れた。しかし、約束していたにもかかわらずベニーは不在のようで、家の中は子供たちの存在さえ感じられないほど静まり返っていた。ヴィンセントは、ドアをノックする音がベニーに聞こえなかったのではないかと思い、地下へと降りて行った。そこで彼は恐ろしい光景を目の当たりにする。血まみれの床に、頭が転がった状態でベニーが座っていたのである。ヴィンセントは恐怖のあまり逃げ出して警察に通報した。
駆けつけた警察はベニーの家中を捜索し、いくつかの奇妙なものを発見した。中でも奇妙だったのは、斧で切断されたベニーの頭に周りに、棺桶に入った子供の遺体写真が額入りで3枚並んでいたことだった。後にこの子供は、数年前に亡くなったベニーの子供であることが判明した。また、女性の下着のいくつかが散らばり、それぞれに所有者の名前がタグ付けされていた。後に新聞は、女性の下着がブードゥー教もしくは悪魔崇拝の実践に使用された可能性があると指摘した。
奇妙なことに、殺害された家族全員の遺体に争った痕跡はなく、隣人の誰も異常な物音を聞いていなかった。強盗や侵入の痕跡もなく、発見された唯一の証拠は、ドアノブに付着した血まみれの指紋だけだった。
しかも警察は、新聞記者と野次馬が犯罪現場を踏み荒らしたり、事件解決の手がかりを破壊したりすることを防げなかった。さらに、ベニーの隣人やクライアントのほとんどは、警察とできるだけ距離を置きたいと思っているシチリア人とイタリア人の移民ばかりであり、情報の提供をためらった。
捜査は難航し、ついに真相が明らかになることはなかったが、犯人についてはいくつかの説が囁かれている。まず、裕福なイタリア人移民をターゲットにしていた犯罪グループ「ブラックハンド」にベニーが脅迫されていたことを示すメモを根拠に、このグループによる犯行説が浮上した。しかし、決定的な証拠は発見されなかった上、事件当時は組織自体がほとんど機能していなかったことも判明している。
次に、同じ地域に暮らすウンベルト・テッキオという男に疑いがかけられた。遺体が発見される前夜、ウンベルトはベニーの家を訪れ、ベニーから購入した家の代金を支払っていた。そしてウンベルトは事件の3カ月前、口論となった義理の兄弟を殺害していた。このことも疑惑の根拠とされたが、結局はベニー殺害の証拠も自白もなかったため、ウンベルトは釈放された。
他にも、ベニーの親友だったアウレリウスが犯人ではないかという噂も流れた。というのも、アウレリウスはペンシルベニア州の刑務所から脱獄した後、行方不明となっていたからである。アウレリウスがかつてのオカルト仲間の家を探し出し、何らかの理由で復讐した可能性も否定し切れない。しかし、これを裏付ける証拠もまた現在まで見つかっていない。
事件が解決されないままベニーの家は取り壊され、現在その跡地は更地になっている。この場所には幽霊が出るという噂も囁かれるようになった。悲鳴が聞こえたり、頭のない男が歩いたりするそうだが、このように多くの人が今でも「オカルト殺人事件」に怯えているのだ。
参考:「American Hauntings」、ほか
※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。
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