【衝撃】15年間、米国の核ミサイル発射コードは「00000000」だった… 冷戦下でまかり通った“世界で最も危険なパスワード”

• 
• Xでポスト
• 

　1962年のキューバ危機から1977年までの15年間。世界が核戦争の瀬戸際に立たされていた冷戦の真っ只中、アメリカ大陸間弾道ミサイル（ICBM）「ミニットマン」の発射コードは、信じられないほど単純なものだった。複雑で解読不可能な文字列ではない。それは、「00000000」だったのだ。

　この驚愕の事実は、元空軍発射担当官であり核政策の専門家であったブルース・ブレア氏によって、2010年代に暴露された。これは単なる技術的なミスではない。世界の運命を左右する核のボタンが、意図的に“誰でも押せる”状態に置かれていた、驚くべき歴史の裏側である。

なぜ「00000000」だったのか？―“反撃失敗”を恐れた軍の独断

　物語は1962年に始まる。偶発的、あるいは未承認の核発射を恐れたジョン・F・ケネディ大統領は、すべての核兵器に「PALs（Permissive Action Links）」と呼ばれる安全装置の設置を義務付けた。これは、上層部から送信される秘密の正しいコードを入力しなければ、ミサイルを発射できないようにする技術的な安全策だった。

　しかし、核ミサイル部隊を管轄する戦略航空軍団（SAC）の指導者たちは、このPALsシステムに深い疑念を抱いていた。彼らが恐れていたのは、未承認の発射ではない。ソ連からの核攻撃を受けた際に、報復攻撃に失敗することだったのだ。

　もし通信網が破壊され、上層部からの発射コードが届かなかったら？報復攻撃が遅れ、国が壊滅したら？そんな悪夢のシナリオを回避するため、現場の軍は驚くべき“解決策”を講じた。それは、発射コードをあらかじめ「00000000」に設定しておくことだった。

　ブレア氏によれば、これは当時の標準的な手順だったという。これにより、発射担当官は上層部からのコードを待つことなく、ただスイッチをひねるだけで、いつでもミサイルを発射できる状態にあったのだ。

形骸化した安全対策―“ツーマン・ルール”の現実

　SACは当時、ミニットマンシステムの安全対策は完璧だと主張していた。その柱となっていたのが、重要な操作は必ず2人の有資格者が同時に行わなければならないという「ツーマン・ルール」だ。

　しかし、ブレア氏や他の元担当官の証言によれば、この人間による安全策もまた、しばしば形骸化していた。長く単調なシフト勤務に直面した担当官たちは、しばしばルールを逸脱。一人が仮眠を取り、もう一人が一人で発射制御装置にアクセスできる状態にあることは、日常茶飯事だったという。

　この環境下では、発射コードが「00000000」であることを知っている一人の人間が、理論上、単独で核の発射シーケンスを開始する力を持っていたことになる。世界の運命は、一人の担当官の判断と、あまりにも脆い安全神話の上に成り立っていたのだ。

15年後の改革―ついに導入された“本物の”コード

　この危険な状況は、1977年まで続いた。この年、SACはついにシステムの重大な変更を実施。新しい発射制御パネルが導入され、上層部からの緊急行動メッセージ（EAM）で送信される、動的な解除コードを入力しなければミサイルが発射できない仕組みに改められたのだ。

　長年にわたり、空軍は議会や国民に対して「安全装置は当初から完璧に機能していた」と誤解を招く説明を続けていた。しかし、ブレア氏の暴露により、15年もの間、世界の安全保障がいかに薄氷の上にあったかが明らかになった。

　ブレア氏の告発は、冷戦時代の安全保障が、笑えるほど簡単に推測できるコードのような、極めて細い糸の上でかろうじて保たれていたという、恐ろしい現実を私たちに突きつけている。発射コードはもはや「00000000」ではないだろう。しかし、私たちの世界の安定が、今もなお、どれほど脆い安全対策の上に成り立っているのかは誰にも分からないのかもしれない。

参考：ZME Science、ほか

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

関連記事

• 

  ビル・ゲイツ「気候変動では人類は滅びない」専門家が語る、人類を絶滅させる“本当の脅威”とは

• 

  人類は“監視”されていた？ 核実験の翌日、UAPの目撃数は急増する… 一流科学誌が認めた“人間以外の知性体”介入の可能性

• 

  「“人間のものではない物体”が核施設上空を飛んでいる」― 米政府高官の告白は“世界統一政府”を樹立するための壮大な“ヤラセ”の始まり？

• 

  なぜIT億万長者たちは“終末シェルター”を建設するのか ― 彼らが本当に恐れる「AIの反乱」という悪夢