無重力空間では「精子が迷子になる」衝撃の研究結果!イーロン・マスクの火星移住計画に赤信号か?

人類が地球を飛び出し、火星や月にコロニーを建設して「多惑星種」になる——。イーロン・マスクをはじめとする宇宙開発の野心家たちが描く壮大な夢だが、彼らはある「致命的な問題」を見落としていたかもしれない。
それはロケットの燃料でも、宇宙放射線でもない。なんと「精子の方向感覚」だ。
最新の研究により、無重力(微小重力)空間では人間の精子が方向を見失い、卵子までたどり着くのが極めて困難になることが判明したのだ。宇宙空間での「子作り」に立ちはだかる生命の壁とは。
泳ぐ力はあるのに「カーナビ」が狂う精子たち
オーストラリアのアデレード大学ロビンソン研究所のニコル・マクファーソン博士らのチームが行った実験は、非常にユニークなものだった。
宇宙空間の微小重力を地球上で再現するため、「3Dクリノスタット」という装置を使って細胞を絶えず回転させ、重力の方向を狂わせた状態を作り出した。そこに人間、マウス、ブタの精子を入れ、女性の生殖器官を模した微小な迷路を泳がせたのだ。
結果は驚くべきものだった。地球の重力下と比べ、無重力シミュレーション下では迷路を抜けられる精子の数が激減したのである。
面白いことに、彼らの「泳ぐ力(運動性)」自体は全く衰えていなかった。つまり、エンジンは絶好調なのに、重力という「カーナビ」を失ったせいで、自分がどこに向かっているのか分からず迷子になってしまったのだ。
「精子が生殖器官というトンネルをナビゲートする上で、重力が重要な要素であることを示せたのは今回が初めてです」とマクファーソン博士は語る。

宇宙での妊娠・出産は「奇跡」に近い?
精子が迷子になるだけなら、体外受精(IVF)などのテクノロジーで解決できるかもしれない。しかし、問題はそれだけでは終わらない。
無重力状態にさらされたマウスの卵子は、わずか4時間で受精の成功率が30%も低下した。さらに長期間の無重力にさらされると、胎児を形成する細胞数が減少し、発達の遅れが生じるケースも確認されたという。
ブタの胚発生に至っては、無重力下での受精ではさらに失敗率が高かった。これでは、火星のコロニーで家畜を繁殖させることすら危ぶまれる。
さらに、宇宙空間には細胞のDNAを切り裂く強烈な放射線や、ホルモンバランスを狂わせる環境ストレス、有毒な月の塵など、母体と胎児を脅かす危険が山ほど存在する。
一部の研究者が「宇宙で赤ちゃんを作るのはまだずっと先の話だ」と警告するのも無理はない。

「火星人」誕生への遠い道のり
もちろん、絶望的なニュースばかりではない。
迷子になる精子に対し、卵子が放出する性ホルモン「プロゲステロン」を追加したところ、より多くの精子が無重力の混乱を乗り越えて進むことができたという。卵子からの「こっちへおいで」という化学的なラブコールは、無重力下でも機能する可能性があるのだ。
また、無重力下でも正常に発育した健康な胚も多数確認されており、「いつか宇宙で繁殖できる日が来るという希望は残されている」とマクファーソン博士は述べている。
我々人類が火星に街を作り、そこで新しい命を育む未来。それは技術的な課題だけでなく、地球の重力という「母なる揺りかご」からいかにして自立するかという、生命としての究極のテストでもある。
イーロン・マスクが火星で「ベビーシャワー」を開ける日は、彼が思っているよりもずっと先のことになるかもしれない。
参考:IFLScience、Daily Star、ほか
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