棚の上の5桁の数字を”視た”女性、壁の向こうの来訪者を当てた男… 心理学者タートの睡眠実験の記録

眠っている自分の体を、天井のあたりから見下ろしている。そんな「体外離脱体験」を語る人は、時代や国を問わず後を絶たない。一説には、世界の人口の10〜20%が何らかの形でこの体験をしているともいわれる。
では、体を抜け出した「意識」は、本当に現実の光景を見ているのか。この問いに実験で挑んだのが、アメリカの心理学者チャールズ・タート氏だ。彼の睡眠実験では、被験者が隠された数字を読み当てた一方で、まったく予想外のものを「目撃」してしまったケースも記録されている。
棚の上の5桁の数字、10万分の1の確率をくぐり抜けた「ミスZ」
タート氏が最初に注目したのは、「ミスZ」と呼ばれる若い女性だった。彼女は物心ついた頃から体外離脱を繰り返しており、10代で人から指摘されるまで、誰もが同じ体験をしていると思い込んでいたという。
自宅での非公式な試しでは、眠っている間に他人が選んだ数字を「見る」ことができたらしい。興味を持ったタート氏は、彼女を睡眠研究所に招き、本格的な実験を行った。その結果は1968年に論文として発表されている。
実験は4晩にわたって行われた。ミスZがベッドで眠る部屋には、寝たままでは見えない高い棚の上に5桁の数字が置かれた。体から浮かび上がったら数字を確認し、朝に報告するというルールだ。
4晩のうち、彼女は浮遊体験を3回、意識が体から切り離されるような感覚を2回報告した。そして最終夜、ついに数字を言い当てる。答えは「25132」だった。偶然で当たる確率は10万分の1であり、タート氏が強い関心を抱いたのも無理はない。
数字は外したが、壁の向こうの「来訪者」を言い当てた男
その後、タート氏はもう一人の体外離脱体験者、ロバート・モンロー氏に対して行った実験についても、1998年に論文として報告している。モンロー氏は、体外離脱の研究と普及に力を注いだことで知られる人物だ。実験の手順はミスZのときとほぼ同じで、睡眠研究所の部屋には数字が隠されていた。
ところが、モンロー氏は肝心の数字を読み取れなかった。その代わりに彼が報告したのは、建物内の別の部屋で、研究所の技術者の一人が見知らぬ男と会っている光景だった。その描写はかなり具体的だったという。
研究所では本来、部外者の立ち入りは原則として認められていなかった。しかし研究チームが後日確認したところ、その夜、技術者の一人の夫が実際に研究所を訪れていたことが判明したのだ。当て推量で言い当てるのはほぼ不可能な出来事である。
この結果を受けて、タート氏はひとつの仮説を立てた。体外離脱中の意識は、数字のような動かない対象よりも、動きのある人や出来事のほうを捉えやすいのではないか、というものだ。
偶然か、それとも意識は本当に体を離れるのか
もちろん、これらの結果をそのまま「意識が体を抜け出した証拠」とみなすのは早計だ。この実験を紹介した英国の科学ライターも、自分で屋根に上がって煙突の鳥の巣を確かめられるまでは懐疑的な立場を崩さないとしている。
体験者本人以外には検証が極めて難しいという点が、この分野の最大の壁だろう。ミスZの実験についても、実験環境の管理が十分だったのかを問う声もある。
それでも、10万分の1の数字と、誰も予期していなかった夜の来訪者という2つの記録が、半世紀以上前の睡眠研究所に残されているのは事実だ。体という「重し」を外して自由に飛び回れるなら、それはそれで夢のある話である。今夜あなたが天井から自分の寝顔を見下ろしたなら、棚の上の数字より、隣の部屋の物音に耳を澄ませてみるといいのかもしれない。
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2024.10.02 20:00心霊棚の上の5桁の数字を”視た”女性、壁の向こうの来訪者を当てた男… 心理学者タートの睡眠実験の記録のページです。睡眠、意識、体外離脱、ロバート・モンローなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
