アップル、グーグル…欧米大企業の研修に“瞑想”!? パワーエリートの間で常識化する「マインドフルネス」
欧米の大手企業がこぞって社員研修に瞑想を取り入れている。その最尖峰はグーグル社で、独自の幹部向け研修プログラム『Search Inside Yourself』=S.I.Yプログラムを開発、自社のみならず社外にも販売している。
半導体メーカーのインテル社は社員10万人に対して9週間の瞑想を取り入れた研修プログラムを受講するように指示し、投資会社のゴールドマンサックスやアップル社なども同様の研修セミナーを開催しているそうだ。
瞑想によってビジネスのパフォーマンスを上げ、ストレスを減らして人間関係を円滑にするのだという。この新しい瞑想はマインドフルネスと呼ばれ、「TIME」誌が取り上げるなど、パワーエリートの間ではもはや常識となりつつある。
今さら瞑想? ヒッピー文化の変型か、あるいは保守陣営が夢見る日本独自の精神文化ではないのか? 70年代には、禅寺で座禅を組む新入社員、あるいは幹部候補生の姿がニュースになった。日本人の目には、瞑想は古臭い感じを受ける。
■現実をありのままに認識するプログラム
今回の瞑想ブームは、ある認知療法プログラムが元になっている。1970年代に、マサチューセッツ大学医学校名誉教授ジョン・カバットジンが開発した『マインドフルネス ストレス低減法』という8週間プログラムがそれだ。日本の禅文化を海外に広くしらしめた仏教学者鈴木大拙に影響を受けたジョン・カバットジンは、医療に禅を応用できないかと考え、慢性疼痛という傷や病気が治ったのに痛みがなくならない患者から苦痛を取り除く方法としてこのプログラムを開発した。
瞑想には「サマタ瞑想」と「ヴィパッサナー瞑想」の2種類があり、マインドフルネスはヴィパッサナー瞑想に基づいている。サマタ瞑想は自分の心の中にある無意識の階層へ深く潜っていき、意識を変化させる瞑想で、超能力や宗教的法悦体験につながっていく。
一方のヴィパッサナー瞑想は現状をありのままに認識する技術だ。『アナと雪の女王』ではないが、ありのままに現状を認識することで、ストレスを大幅に軽減する。
たとえばうつ病と不安症という現代人の2大精神疾患がある。うつ病は過去のことをネガティブにとらえ、その反復が大きくなり現在までも否定してしまう。一方、不安症は過呼吸などの発作が特徴だが、何かをしたら発作が起きるんじゃないかという不安から発作が引き起こされる。電車に乗っている最中に発作が起きたら困るという不安から、電車に乗れなくなってしまうわけだ。
どちらも現在に問題があるわけではなく、自分の過去や未来が頭の中で過剰に大きくなり、現在にネガティブな影響を与える病気だ。ジョン・カバットジンが治療しようとした慢性疼痛も、ガンや関節炎、重度の怪我などの痛みが痛みのネガティブなサイクルを作り出し、ほとんど痛くないのにものすごい痛みを感じるようになってしまう病気だ。今が過去の痛みによってネガティブに歪められているのだ。
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