カルマと生まれ変わりの真実 前世の行い次第で来世は虫になる…輪廻転生
そして、ゲルマン師自身も輪廻転生は人生のセカンドチャンスとしてあるべきだとする倫理的な態度を取っている。たとえば、幼くして不幸な死を遂げた子どもは、完全な人生を生きるために生まれ変わってくるべきだというのだ。
「一度きりの人生は神の正義だと思いますが、輪廻転生は神の慈悲だと思います」(ゲルマン師)
![](/wp-content/uploads/2020/09/reincarnation_02.jpg)
少し話がそれるが、ゲルマン師が語る神の慈悲について、現代フランスの哲学者クァンタン・メイヤスーは、「神の不在」というテーマで掘り下げている。メイヤスーは、世界は偶然このような姿であるだけで、常に偶然的な変化にさらされているとする。宇宙の存在そのものが無根拠にただ在るだけなのだから、次の瞬間にこれまた無根拠になんのルールもなく消えてしまっていいわけだ。同様に宇宙を支配するルールも無根拠に決まっているわけだから、これもまた無根拠に変わってしまってもおかしくない。その上でメイヤスーは、現時点では不在である神が、ある瞬間に偶然降臨し、死者を復活させる可能性に言及している。それにより、不幸な死を遂げた人々が復活するというのだ。まさにこれはゲルマン師が語る神の慈悲であろう。
輪廻転生を人格神の慈悲だと捉える視点は、輪廻を無慈悲な自然のプロセスだと捉える東洋的観点からは新鮮な印象を受けるかもしれないが、このように不幸な人生の救済という点では前者の方がポジティブだろう。人生のセカンドチャンスがあると思えば、よりポジティブに生きることもできるのではないだろうか。
参考:「Kenosha News」、ほか
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