ブラックホールに吸い込まれても情報は失われず、抜け出せると判明! 理論物理学の超難問パラドックスついに解決!
理論物理学者を悩ませ続けた「ブラックホール情報パラドックス」が遂に解決か――。ブラックホールに吸い込まれても、情報は残っているというのだ。
■「ブラックホール情報パラドックス」とは
宇宙の“墓場”であるブラックホールに吸い込まれれば、やはり海ならぬ宇宙の“藻屑”となって消え去るのだろうか。それとも我々がそこにいた痕跡は消えずに残され、場合によっては“生還”できたりもするのだろうか。
故ホーキング博士は、ブラックホールに吸い込まれても質量はなくならないが情報は失われると主張(後に撤回)していた。しかし、それでは量子力学のメカニズムを否定することになり、これが「ブラックホール情報パラドックス(black hole information paradox)」としてこの50年にわたって理論物理学者たちを悩ませ続けてきたのだ。
しかし、ほとんどの研究者が1つのことには同意しているようである。何らかの形で、時空自体がブラックホールで崩壊しているように見えることだ。これは、時空が現実の根本的な要素ではなく、より深い何かからの創発的な構造であることを意味しているのだ。時空が“溶解”するものであるとすれば、最終的に情報がその重力の“刑務所”から逃れることができる理由になるということだ。
カナダの理論物理学者、ドン・ページはホーキング博士に師事していたのだが、この「ブラックホール情報パラドックス」の見解によって袂を別ったという。ページはブラックホールで情報は失われないと考えたのである。
ページは、ブラックホールと放射線の間のエンタングルメントの総量、「エンタングルメント・エントロピー(entanglement entropy)」を計算することからはじめた。この計算をグラフにした数値の変化は「ページ曲線(Page curve)」と呼ばれるようになった。
ページによれば、ブラックホールの質量が少なくなるにつれてエンタングルメント・エントロピーは大きくなるのだが、ブラックホールの消滅時にはエントロピーはゼロになるので、どこかの時点でエントロピーの上昇が止まり下降に向かうポイントがあると考えた。そしてこの山型の曲線をページ曲線と呼ぶようになったのだ。
ページはエンタングルメント・エントロピーがページ曲線に従う場合、情報はブラックホールから抜け出すと確約したのである。
ページ曲線にまつわる研究はその後もさまざまな研究者によって続けられ、2019年5月に発表されたカリフォルニア大学サンタバーバラ校のアハマド・アルムヘイリらの研究では、エンタングルメントを幾何学的に定量化する新しい理論的ツールを使用し、ブラックホールが情報を解放することが確認されたのだ。もし未来の宇宙旅行でブラックホールに吸い込まれたとしても、サバイバルできる可能性が残されたことになる。
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2024.10.02 20:00心霊ブラックホールに吸い込まれても情報は失われず、抜け出せると判明! 理論物理学の超難問パラドックスついに解決!のページです。仲田しんじ、ブラックホール、相対性理論、アインシュタイン、ホーキング博士などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで