変死、歩く呪物、風呂で茹ダコ 「タイぐるり怪談紀行」著者インタビュー(後編)
——因果応報といえば仏教ですが、バンナー星人さんは密教学を修めてらっしゃいますよね?
(バンナー星人) タイの人々の根本を支える仏教を学びたいと思って高野山大学の通信課程で密教学修士を取りました。修士論文は「手動瞑想」の研究です。日常生活でも作業しながらできる瞑想ですね。
ロッブリーのプラバートナンプ寺院よりアロンコット住職がわたしたちの住むコンドにいらっしゃいました。霊能者ビーさんがお仕えされてるこのご住職は、差別が激しかった古くの時代からエイズ患者のホスピスとしてお寺を解放されていました? pic.twitter.com/uLMTfRFTXU
— バンナー星人 (@berialshunnya) September 24, 2022
タイの暮らしで感じるのは、お釈迦様が善悪を決めてくれているのは楽だなということです。たとえば「悪口を言う」のは悪い行いですが、誰でも噂話をして悪口を言うくらいはある。それでもタイでは、最後に「あの人にも良いところあるよね」と、何かよい言葉で結ぼうとする。悪口を言うと積んだ徳が減ってしまうからです。くだらない悪口で徳を減らすのもったいないですよね(笑)。もちろん「今世でもっと良い思いしたい! 楽したい!」と皆が思うわけですが、輪廻と来世を前提にすると、今後のために今世での善を肯定する。社会全体が善悪の前提をわきまえているとでもいいましょうか……。
一方、日本では善悪のわかりやすく確かなルールがない結果、生き辛さ、生きにくさを抱えてしまうところがあると思います。私はタイのように確かな善悪のルールがある方が暮らしやすい。長年タイで暮らした正直な感想です。
タイの怪談と仏教は切り離すことができません。僧侶にタンブン(徳を積む)し、浮遊霊に徳を分け与える話は、よく聞きます。死者の怨念と生者の欲望が渦巻く心霊現象、死者も生者も包み込むタイ仏教の奥深さ——両者が織りなすアメイジングな世界を『タイぐるり怪談紀行』で語っています。ぜひ楽しんでください。
バンナー星人
2004年よりタイ在住。バンコクの公立学校にてタイの高校生に日本語を教える傍ら、2017年に、高野山大学院通信課程密教学修士号取得。仏教とオカルトが織りなすアメイジングなタイの魅力にとりつかれている。
Twitter : @berialshunnya
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2024.10.02 20:00心霊変死、歩く呪物、風呂で茹ダコ 「タイぐるり怪談紀行」著者インタビュー(後編)のページです。霊感、仏教、変死などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで