直径30mのUFOが墜落、中から16人の宇宙人の死体… 謎に包まれた「アズテック事件」を解説(1)

――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀り。アーノルド事件からCBA事件までを振り返る。

第1回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(1) 
第2回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(2)
第3回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(1)
第4回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(2)
第5回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(1)
第6回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(2)
第7回:戦前に設計された円盤形航空機「ディスコプター」とは?
第8回:UFO=宇宙人の乗り物説は日本発祥だった!?
第9回:UFO研究の先駆者ドナルド・キーホー概説
第10回:1897年「オーロラ事件」は世界初のUFO墜落事件なのか?

 謎のUFOがニューメキシコ州のアズテックに着陸し、軍がそれを回収したというアズテック事件が世間の注目を浴びたのは、1950年3月8日、コロラド州にあるデンバー大学である科学者が講演を行い、この事件について述べたことがきっかけであった。

 匿名で行われたこの講演は、聴講した学生たちを中心に大きな反響を呼び、人々は講演者の身元を探りはじめた。ほどなくしてこの人物は、石油会社を経営するサイラス・メイソン・ニュートンという実業家であることが判明した。

 じつはスカリーは、以前からニュートンの友人であり、1949年9月にニュートンを通じて、墜落現場でUFOを調査したというギー博士と知り合い、その証言をもとに『バラエティ』誌に記事を掲載したのだった。

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右:フランク・スカリー(画像は「Getty Images」より)

 事件が起こったのは、1948年3月とされている。『UFOの内幕』では正確な日付は明らかにされていないが、スカリーが『バラエティ』誌に書いた記事では3月25日となっていたようだ。

 このとき、謎の宇宙船が大気圏内に突入するのを、テネスコープという磁力線探知装置が捕捉し、その位置から予測着陸地点が算出された。ただちにコロラド州ドゥランゴの飛行場からアメリカ軍の捜索隊が飛び立ち、数時間後にはニューメキシコ州アズテックの東方に、一機のUFOが着陸しているのが発見された。現場にはギー博士をはじめとする8名の科学者たちが、調査のため集められた。

 UFOの直径は約30m。機体には損傷らしきものは見あたらず、ただ丸窓に鉛筆ほどの小さな穴が開いているだけだった。状況から考えて、墜落ではなく、制御された着陸と思われた。

 外部にはシンボルマークや標識らしきものはなく、リベットやねじらしきものの形跡も見あたらなかった。

 科学者たちは当初、この未知の物体に近づくことを警戒し、ガイガー・カウンターその他の計器類で安全性を確かめた。2日経ってから近寄ってみると、機体はアルミニウムにそっくりの軽金属でできていたが、非常に軽く、2、3人の手で巨大な円盤の片方を持ち上げることができた。他方強度は非常に高く、その場にいた十数人が上に乗っても一切へこむことがなかった。

 丸窓の割れ目を押し広げて中をのぞき込むと、壁には計器盤らしきものがあり、身長90cmから120cmくらいの、背の低い16人の死体が確認できた。

 科学者たちは、窓の割れ目から棒を突っ込み、計器盤をあちこちつついているうちに、突然開口部ができた。偶然ドアを開くスイッチに触れたらしい。

 そこから中に入って詳しく調べてみると、船内には、食糧と思われるウエハースのような物質、水の入った容器が2個、それに航法を扱ったと思われる小冊子のようなものなどがあった。

 構造は、中央部の船室の周囲を回転するリング状の縁が取り囲んでいるらしく、船室はギヤでリングと直結していた。武器らしきものは搭載されていなかった。

 16人の死体を外に運び出してみると、身長こそ低いものの、手足や胴体の比率は地球人と同じで、全員が同じダークブルーのユニフォームを身につけていた。上着には金属のボタンが付いていたが、記章らしきものは一切なかった。そして、皮膚の部分が非常に濃い茶色に焼け焦げていた。

 科学者は、飛行中窓が破損し、そこから高温の空気が侵入したか、推進手段や船内の与圧装置に何か異常が生じたために焼かれたと判断したが、それがどの時点で起こったのかは特定できなかった。

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画像は「Getty Images」より

 現場ではそれ以上調査できないので、見つかった物品や搭乗員の死体はしかるべき研究所に運んで調査することになった。UFO本体については、いくつものパーツを細い溝に合わせて結合する構造であることが判明したので、解体して運び去った。

 乗組員の死体の一部は解剖され、空軍の医学関係者の手で詳しく調査された。すると背は小さいものの全体の比率は地球人と同じで、肉体的にも正常な人類と判明した。ただ歯については虫歯や詰め物などが一切なかった。また、地球人の年齢に換算すると、最年少の者で35才くらい、最年長の者は40才くらいになるという結果が出た。

 容器に入った水は、通常の2倍の重さがあり、重水のように思われた。小型のウエハースのようなものについては、これをモルモットに与えたところ成長がよくなった。また一枚のウエハースを1ガロンの沸騰水に入れるとたちまち容器の外に煮こぼれたという。

 さらにギー博士によれば、その後3機のUFOが着陸したという。最後の1機は飛び去ったものの軍は他の2機も手に入れ、計3機のUFOと34人の搭乗員の遺体が回収されたという。このうちギー博士が調査に加わったのは1機目と2機目だった。

文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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