プレアデス星団は人類を10万年間導いてきた? 天体物理学者が指摘する神話と天文学の一致

冬の夜空に輝く「プレアデス星団」、通称「すばる」をめぐって、ある大胆な仮説が天文学者の間で注目を集めている。
地球の反対側で何千年も交流のなかったはずの2つの文化が、なぜかまったく同じ星の数え方と、まったく同じ「失われた1つの星」の物語を語り継いできたというのだ。
この符合を偶然では片付けられないと考えたのが、天体物理学者のレイ・P・ノーリス氏と、その息子であるバーナビー・R・M・ノーリス氏だった。両氏は2021年に発表した論文で、この謎に天文学的な裏付けを与えようと試みている。
「7つの星」が「6つ」に見えていた可能性
プレアデス星団は肉眼でも6〜7個の星が集まって見えることで知られ、古来「七姉妹」の名で親しまれてきた。
ノーリス父子が着目したのは、星団を構成する「アトラス」と「プレイオネ」という2つの星の位置関係だ。恒星は宇宙空間の中でわずかずつ位置を変える「固有運動」を持っており、現在この2つの星は肉眼ではほとんど1つに融合して見えるほど接近している。
しかし両氏の試算によれば、約10万年前にはこの2つの星はまだ十分に離れており、肉眼でもはっきり2つの点として見分けられた可能性があるという。つまり大昔の人類が夜空を見上げたとき、プレアデス星団は現在より1つ多い「7つの星」として認識できたことになる。
この天文学的な変化こそが、世界各地に残る「七姉妹」神話の起源ではないかというのが、両氏の提示する仮説の核心だ。
ギリシャとオーストラリア、独立に生まれた同じ物語
ギリシャ神話では、巨神アトラスの7人の娘たちが狩人オリオンに追われ、最後にゼウスの手で星に変えられたという物語が伝わっている。
興味深いのは、地理的にも文化的にも何世代にもわたって接触がなかったはずのオーストラリア先住民の伝承にも、驚くほど構造の似た説話が存在することだ。
ノーリス父子が調べた世界各地の複数の文化圏では、プレアデス星団を「七姉妹」と呼びながら、同時に「本来は7つ見えたはずの星のうち、1つが見えなくなった、あるいは失われた」という、ほぼ共通した筋書きの物語が独立に語り継がれてきたという。
裏付けとして両氏が挙げるのが、古代ギリシャの詩人アラトスが残した記録だ。アラトスはプレアデスを「七姉妹」と名付けながらも、自らの観察としては「実際に肉眼で見えるのは6つだけだ」とはっきり書き残している。
ノーリス父子は、この食い違いこそが手がかりだと指摘する。「七姉妹」という名称と「6つしか見えない」という実際の観察のズレは、かつて肉眼で7つの星がはっきり見分けられていた時代の古い記憶が、名前や神話という形で世代を超えて保存されてきた痕跡なのではないか、というのが両氏の見立てだ。

仮説はどこまで確かなのか
もっとも、これは10万年前の人類が実際にプレアデス星団を観察し、その記憶を口承で現代まで伝えてきたことを証明するものではない。
10万年前といえば、文字はおろか複雑な言語体系の確立すら議論が分かれる、人類史のかなり早い段階にあたる。神話がそこまで長期間、核心部分を保ち続けられるのかは、天文学とは別に人類学・言語学の領域で今も議論が続いている。
ノーリス父子自身、自らの説を確定事実ではなく検証に値する仮説として提示している。星団の見え方の変化と、世界各地に残る神話の類似——この2つをつなぐ一つの試みにすぎない。
それでも、地球の反対側に離れて暮らしていたはずの人々が、夜空を見上げて同じ物語を紡いでいたのだとしたら。人類の記憶の底には、私たちがまだ知らない星々との深い結びつきが眠っているのかもしれない。
参考:Espacio Misterio、ほか
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2024.10.02 20:00心霊プレアデス星団は人類を10万年間導いてきた? 天体物理学者が指摘する神話と天文学の一致のページです。神話、天文学、プレアデス星団などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで


