近親婚の呪い? 日が沈むと植物人間になる「ソーラーキッズ」が出現=パキスタン
次第に日差しが強くなり、そろそろ紫外線が気になっている読者もいるかもしれない。しかし、人間の健康にとって日光は欠かせないもの。太陽の光に当たらないと体内時計が狂い、ビタミンDが不足、うつや骨粗しょう症にもかかりやすくなるのだ。
ところがパキスタンにはその極端すぎるケース、つまり日が射している間しか意識がなく、日没とともに植物状態に陥ってしまう人間がいるのだという。まるで太陽光を動力源にしているとしか思えない、不思議な兄弟について紹介しよう。
■日が沈むと植物人間になる奇病!
アフガニスタンと国境を接するバローチスターン州、山岳地帯の小さな村に暮らしているのが「ソーラーキッズ」ことショアイブくん(13)とラシドくん(9)の兄弟だ。その名の通り、彼らは日中しか体を動かすことができない。太陽光の下では、ほかの子どもと何ら変わらない活発な兄弟だが、日が沈んだ途端に全身の力が抜け、倒れ込むように意識を失い、植物状態に陥ってしまうのだ。そしてまた夜が明け、日が昇ると、兄弟は何事もなかったかのように活発な少年に戻るという摩訶不思議な暮らしを送っている。
今月8日、父親のムハマド・ハシムさんが現地メディア「Dunya News」に語ったところによると、兄弟の症状は生まれつきであり、これを目にしたご近所さんによって「ソーラーボーイ」の名がつけられたという。兄弟の母親がムハマドさんの従姉妹にあたることから、“近親婚の呪い”を疑うご近所さんもいるのだとか。なお、ムハマドさんにはほかに4人の子どもがいるが、1歳になる男児にも同様の症状が見られるようだ。
■謎の解明なるか?
過去、ムハマドさんは兄弟の症状を何とか改善しようと複数の医師たちに診察を仰いだ。しかし、前代未聞の症状に誰もが首をひねるばかりで原因はまったくの不明。大学病院で精密検査を受けさせることも考えたが、費用を捻出できず断念せざるを得なかったという。ところが、このような不遇にもようやく好転の兆しが見えはじめたようだ。
なんと兄弟を取材した「Dunya News」側が、密着取材を条件として精密検査の費用を肩代わりすることを申し出たのだ。家族は喜んでこれを受諾、今後ソーラーキッズは自宅から900km離れた都市ラホールの大学病院、さらには首都イスラマバードの「パキスタン医科学研究所(PIMS)」で診察を受けることになっている。
また、医療機関もソーラーキッズの治療に並々ならぬ意気込みを見せている。PIMSのジェーブド・アクラム医師は、総勢40名の医療関係者からなる分析チームを組織。200回を超える血液・DNA・脳の検査を予定しているとのこと。また、得られたサンプルをメイヨー・クリニック(米)、ジョンズホプキンズ大学病院(米)、ギーズ病院(英)など最先端の医療を提供する世界の病院と共同分析する計画もあるようだ。さらに地元政府は、現地の水質や土壌を詳しく検査する方針だという。
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