「このビルは、ヤバイ…」 本当にあった職場の怖い話! ~実話怪談・忌み地に就くべからず ~

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イメージ画像は「Getty Images」より引用

「それ! 私も見ました!」と、急に受付嬢が割り込んできた。

「私、そのときここに居たので! 午前10時頃ですよ。画面のそこだけ景色にモザイクがかったようになっているなぁと思って、よくよく観察すると、それが人間の形をしていて……」

 彼女はそう説明しながら、「あそこに!」と、塔山さんの真後ろを指差した。フロントロビーの中央で、正面にガラス扉がある辺りだ。

「……そこに出入り口の方を向いて仁王立ちしてるのが、モニターに映ってました。エッと思ってそちらを向いて目を凝らしたんですけど、なぜか肉眼では見えなくて、でも画面の中では、それからすぐに出入口の方に歩きだして、ガラス扉を這いあがりました。そして天井に着くと、スーッと消えたんです!」
「……陽炎……モザイク……。映画の『プレデター』のような感じ?」
「あっ! そうです、そうです! プレデターによく似ています。あいつの仕業かどうかはわかりませんが、そこのガラスに手形がついていたこともあるそうですよ。普通の人なら手が届かない、高い所に」

 ふうん、と、塔山さんは受付嬢の視線を辿って、出入口の方を眺めた。

 高さ約5メートルのガラスの壁面があり、その中央にガラス扉の出入口がある。扉は自動扉で、建物の内側だけではなく外からも、常時、防犯カメラが動画を撮影しているはずだった。

「手形なんて、すぐに犯人がわかりそうなものですけど?」と塔山さんが言うと、「防犯カメラには誰も写っていなかったんです」と警備員が答えた。

「夜のうちに脂っこい掌の跡がペタペタつけられていたそうですよ。透明人間の痕跡だけが現れたようなわけでして」

 その夜、塔山さんは、怪我で休むAさんの代わりに翌朝までのシフトにも入ることになった。

 午後5時になるとBさんが退社し、入れ違いに井原さんが出社してきた。同世代の同僚は部内に2人きりなので、塔山さんと井原さんは打ち解けるのが早く、すでにざっくばらんに会話するようになっていた。

「塔山さん、お疲れ。大変だね。ちょっと外に出て息抜きしてきたら?」
「ありがとう! じゃあお言葉に甘えて外で食事してくるよ」
「何かあったら携帯に連絡するから、ゆっくりしといで」

 塔山さんはこのとき、墓地のことを思い浮かべていた。

 昼に話を聞いた警備員たちに軽く会釈をしながらビルの外に出て、さっそく建物の裏に回り込んでみた。

 行ってみると、植栽とフェンスに邪魔をされて見えづらかったが、確かに墓場があった。土地が一段低くなったところに墓石が並んでいる。その向こうに寺院の本堂と思われる建物が見えた。時代のついた屋根や軒の品格がある造りから、かつては広大な敷地を誇る梵刹だったことが偲ばれ、その割には霊園が小さすぎるような気がした。

 急に背筋が冷える心地がした。踵を返して早足で大通りに出ると、近くの牛丼屋でそそくさと食事を済ませた。それから付近の路地を――ここに来て初めて――散策してみて、やけに寺が多いことに気づいた。

 日頃は意識していなかったが、そう思えば、会社の斜め向かいにも寺の山門があったし、すぐそこの芝公園にもたいそうな古刹があるではないか。

 今まで知らずに墓地の上を歩きまわっていたようなものだ、と、ふと思い、食ったばかりの牛丼が喉元にせりあがってきた。

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コメント

2:匿名 2019年4月16日 22:42 | 返信

あ ほ く さ
やめたら?このブログ?(煽り

1:匿名 2019年4月15日 11:03 | 返信

小池真理子の『墓地を見下ろす家』に内容が酷似している。

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