セイラム魔女裁判の真犯人は「幻覚カビ」!? 集団狂気を生んだのは“ライ麦パン”だったのか

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Joseph E. 制作(19世紀末〜20世紀初頭頃) / Library of Congress / Public Domain / Link

 1692年、アメリカ・マサチューセッツ州の小さな村セイラムで起きた、アメリカ史上最も有名な魔女狩り「セイラム魔女裁判」。

 約200人が魔女として告発され、24人の無実の人々が絞首刑や圧死などの凄惨な最期を遂げたこの悲劇は、長年「集団ヒステリー」や「宗教的狂気」の象徴として語り継がれてきた。

 しかし、1970年代以降、この血塗られた歴史を「医学的・生物学的」な視点から解き明かそうとする驚くべき仮説が存在する。村中をパニックに陥れた悪魔の正体は、魔女の呪いではなく、彼らが毎日食べていた「カビの生えたパン」だったというのだ。科学とオカルトの境界線にあるこの不気味な仮説とは。

少女たちを襲った「聖アントニウスの火」

 すべての始まりは、9歳のベティと11歳のアビゲイルという二人の少女の「奇行」だった。

 彼女たちは突然、激しい痙攣を起こし、幻覚を見たと叫び、体が燃えるような痛みに襲われた。そして、村の嫌われ者たちを「あいつらが魔術で呪いをかけた!」と告発したのだ。
 
 1976年、研究者のリンダ・カポラエル博士は、この少女たちの症状が「麦角菌(ばっかくきん)」による中毒症状、いわゆる『麦角中毒』に酷似していると発表した。

 麦角菌とは、寒く湿った冬の後にライ麦などに寄生するカビの一種だ。このカビが混ざったライ麦でパンを焼き、それを食べるとどうなるか。

 麦角菌には、あの強力な幻覚剤「LSD」の原料となる成分(リゼルグ酸)が含まれている。これを摂取すると、幻覚、筋肉の痙攣、そして手足が腐り落ちるほどの激痛(中世ヨーロッパでは「聖アントニウスの火」と呼ばれ恐れられた)を引き起こすのだ。

 魔女裁判が起きる前の冬、セイラムの気候はまさにこの麦角菌が繁殖するのに完璧な条件だった。村人たちは知らず知らずのうちに、毎日「LSD入りのパン」を食べて集団でトリップし、その幻覚を悪魔の仕業だと信じ込んでしまったのではないか――これが「毒キノコ(カビ)犯人説」の全貌である。

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麦角菌の感染により黒く変色した種子 Dominique Jacquin – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

「カビ説」への反論:なぜ全員が発症しなかったのか?

 この非常に合理的で魅力的な仮説だが、歴史家や他の科学者からは激しい反論も浴びている。

 最大の疑問は、「なぜ同じパンを食べていた家族全員が発症しなかったのか?」という点だ。ベティとアビゲイルの家には他にも大人や子供が住んでいたが、狂乱状態になったのはこの二人だけだった。

 さらに、ペンシルベニア大学のキャスリーン・ブラウン博士らは、もっとドロドロとした「人間社会の闇」を指摘する。

 当時、ピューリタン(清教徒)の権威が揺らぎ始めており、社会不安が頂点に達していた。「告発されたのは、教会に行かない変わり者の老婆など、社会的弱者ばかりだった」と歴史家は語る。つまり、魔女狩りは「邪魔者を合法的に排除するためのスケープゴート」だったというわけだ。

 実際、告発者の中には「面白半分でやった」と後から証言を翻した者もいる。

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イメージ画像 Created with AI image generation

幻覚か、人間の狂気か

 魔女裁判は1693年5月、マサチューセッツ州知事の妻までもが魔女として告発されたことで、慌てて知事の権限によって終結させられた。

 奇しくもこの時期は、古いライ麦が尽き、新しい(カビていない)作物が収穫されるタイミングと重なっている。これもまた「カビ説」を支持する不気味な偶然である。

 無実の村人たちを絞首台へと送ったのは、ライ麦パンに潜むミクロの毒物だったのか、それとも人間の心に巣食う同調圧力とヒステリーという名の悪魔だったのか。

 どちらにせよ、人間が最も恐ろしい存在に変わりはない。あなたが今朝食べたパンは、本当に安全だろうか?

参考:Popular Mechanics、ほか

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