全長約120メートルの謎の葉巻型物体が北極の海面に静止 —— 中国潜水艦か、蜃気楼か、UFOか

画像は「rednote」より

 北極圏の氷海に浮かぶ、葉巻のような姿をした黒い物体――。中国のソーシャルメディアに投稿されたわずか数秒の映像が、世界のUFO研究者やSNSユーザーの間で議論を呼んでいる。

 安定化処理を施した映像を分析した有志によれば、物体は全長約120メートルにも及ぶとみられ、水面すれすれの位置でほとんど動かないまま浮かんでいたという。中国の新型潜水艦なのか、光学現象が生んだ幻影なのか、それとも未確認飛行物体(UFO)なのか——正体をめぐる憶測が交錯している。

中国発の投稿と、徐々に明らかになる物体の姿

 この映像は、中国のSNS「小紅書(Xiaohongshu)」上でユーザー「kripton01」が最初に投稿したとされる。正確な撮影日時や座標は特定されておらず、投稿当初は数秒程度、いわゆる「ライブフォト」に近い長さの動画だった。

 その後、別のユーザー「No_Ear_1633」がこの映像を安定化・追跡処理し、物体の姿をより明瞭に確認できるバージョンを公開した。それによると、物体は暗い色の葉巻型で、明確な司令塔(セイル)や煙突のような突起は見当たらない。

Stabilised the Arctic object vid
by u/No_Ear_1633 in UFOs

 水面かごく低い高度に位置しており、観測されている数秒間、目立った動きや急な進路変更は確認されなかったという。

「新型潜水艦」「蜃気楼」「UAP」——割れる専門家の見解

 まず有力視されているのが、中国が開発中とされる新型潜水艦だとする説だ。海軍専門家として知られるH.I.サットン氏は衛星画像を調査し、上海の江南造船所で建造中とみられる新型艦艇の存在を確認したと報告している。従来型に見られる司令塔を持たず、水中での推進効率を高める設計を採用している可能性があるという。

 一方、懐疑的な立場をとる論者たちは、複雑な上層蜃気楼現象「ファタ・モルガナ」の可能性を指摘する。気温の異なる空気の層が屈折勾配を生み出し、遠方にある船舶などの物体を歪んだ形状に投影することがあるためだ。

 これに対しウフォロジストのコミュニティは、映像に映る物体の特性が従来の船舶や航空機では説明がつかないと主張しており、未確認異常現象(UAP)である可能性を捨てていない。

半世紀前にも撮影されていた「葉巻型」の影——USS Trepang事件

 北極圏での葉巻型物体の目撃は、今回が初めてではない。1971年、アイスランドとヤンマイエン島の間の海域を航行していた米海軍の原子力潜水艦「USS Trepang」が、潜望鏡を通じて葉巻型・三角形・円盤型と見られる複数の物体を撮影したと伝えられている。

 この事件は長らくUFO研究者の間で語り継がれてきたが、調査団体The Black Vaultによる検証では、これらは海軍の兵器テストに用いられた円筒形の気球標的だったと結論づけられている。

 今回の映像が拡散した背景には、中国が急速に軍事力を拡張し続けているという現実もある。北極圏という監視の目が届きにくい海域で、各国が秘密裏に新兵器の試験や軍事活動を行っているのではないかという懸念は根強い。

 映像に映った物体が新型潜水艦なのか、自然が生み出した光の悪戯なのか、あるいは未知の飛行物体なのか——現時点でその正体を断定する材料はない。

 ただ、北極圏という戦略的要衝で、大国の軍事的な動きと未確認現象への好奇心が同時に渦巻いている構図だけは、確かなものとして浮かび上がっている。

参考:Vigilia、ほか

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