池の中で5年間暮らし続ける16歳少年の、あまりに過酷な日常…… 正体不明の「灼熱の痛み」に医師も困惑

原因不明の難病に苦しむ人々には、ある共通点がある。満足な診断が下されないまま、日常生活そのものを作り変えて症状と折り合いをつけていくということだ。
だが、インド・西ベンガル州ムルシダバード地区に暮らす16歳の少年、イクバル・シェイク君の場合、その「折り合いのつけ方」は想像を絶するものだった。彼が選んだのは、来る日も来る日も池や川に体を浸し続けるという生活だ。その理由とは——。
陸に上がった瞬間に襲う「全身の灼熱感」
イクバル君の異変が始まったのは、今から約5年前のことだという。陸上で過ごしていると、皮膚全体が焼けるような感覚に見舞われ、耐え難い痛みが全身を襲うようになった。
この灼熱感は水に浸かっている間だけ和らぐという特徴があり、イクバル君はやむなく生活の大半を近所の池や川で過ごすことを余儀なくされてきた。学校生活や友人関係、家族との日常的な時間も、水辺を離れられないという制約の中で大きく変化してしまったと伝えられている。
10代の少年が5年もの間、陸の上での「普通の暮らし」を送れずにいるという事実そのものが、家族にとって重い現実として横たわり続けている。
This 16-year-old has been living in a pond for 5 years.
— Thegrandmaboy (@TheGrandmaBoy) August 19, 2026
He sleeps in it.
He eats in it.
The moment he steps out, his body starts burning. pic.twitter.com/Fn27opsKNT
医師も名指しできない「紅斑症」という壁
イクバル君を診察した医療専門家の間では、灼熱感や皮膚の発赤、体温上昇を特徴とする稀な疾患「紅斑症(エリスロメラルギア)」の可能性が指摘されている。ただし、これはあくまで疑いの段階にとどまり、確定診断には至っていないという。
一方で、長期間にわたり水に浸かり続ける生活そのものが、真菌感染などの新たなリスクを高めかねないとの懸念も専門家から示されている。症状を和らげるための唯一の対処法が、別の健康被害を招きかねないという皮肉な状況に、家族は板挟みになってきた。
家族はこれまで複数の病院や地元の伝統治療師のもとを訪ね歩いたが、いずれも明確な答えを得ることはできなかったという。
実業家の支援で開いた治療への道
診断がつかないまま時間だけが過ぎていく中、追い打ちをかけたのが経済的な問題だった。治療や検査には相応の費用がかかり、家計の事情から通院そのものを中断せざるを得なかった時期もあったと伝えられている。
こうした状況が転機を迎えたのは、インドの著名な実業家アナント・アンバニ氏による支援がきっかけだった。氏の計らいでイクバル君はムンバイの専門病院への搬送が実現し、より詳細な検査体制のもとで原因究明が進められることになったという。
現地の報道では、搬送先としてムンバイの病院名も伝えられており、専門医のチームによる精密検査が続けられているとされる。家族は、この支援によってようやく本格的な診断への道が開かれたことに、大きな期待を寄せているという。
水の中でしか安らげない5年間に終止符は打たれるか
イクバル君を苦しめてきたこの灼熱感は、医学がまだ十分に光を当てられずにいる稀な疾患の一症状なのか、それとも人間の身体に潜む未知のメカニズムが引き起こす現象なのか——。現時点では、その答えはまだ誰にも分かっていない。
いずれにせよ、水の中でしか安らげない少年の5年間の日々に、一日も早く終止符が打たれることを願うばかりだ。
参考:Unilad、ほか
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