到着は7万7000年後! 片道切符の星間探査機「フェルミ・エクスプローラー」2029年打ち上げ計画、狙いは「宇宙人はどこにいる」の解明

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 到着まで7万7000年。そんな気の遠くなる旅に、たった1機の探査機を送り出そうという計画が現実に動き出している。

 名前は「フェルミ・エクスプローラー」。目的地は太陽系から最も近い恒星系アルファ・ケンタウリで、当然ながら帰ってはこない片道切符だ。

 しかも打ち上げ目標は2029年。数十年後の夢物語ではなく、3年後の話である。

 そして最大の奇妙さは、この計画の本当の狙いが天体観測ではなく、「宇宙人はどこにいるのか」という70年以上解けていない問いの検証にあるという点だ。

12年かけて太陽の重力で加速し、そこから7万7000年

 計画されている機体は、キセノンガスを噴射する太陽電気推進を動力とする。SF的な未知の技術ではなく、すでに実用化されている方式の延長線上にある。

 ただし打ち上げ後すぐ星間空間へ向かうわけではない。最初のおよそ12年間は太陽系の内側にとどまり、ひたすら速度を積み上げる。

 鍵を握るのが「オーベルト効果」と呼ばれる原理だ。天体の重力に深く落ち込んだ最も速い地点で加速すると、同じ燃料でも得られる運動エネルギーが大きくなる。太陽のすぐ近くをかすめながら効率よく速度を稼ぐ、という発想である。

 こうして到達する速度は時速およそ8万8500キロ。秒速に換算すれば約24.6キロという猛烈な数字になる。

 それでも、アルファ・ケンタウリまでの距離はおよそ4.4光年ある。この速度で走り続けても、到着は約7万7000年後という計算になる。

 注目すべきは費用で、機体の建造に必要とされる金額は約1500万ドル、日本円にして20億円あまりとされる。国家規模の宇宙開発予算と比べれば、桁がいくつも違う「格安の星間探査機」という位置づけだ。

「みんな、どこにいるんだ?」——フェルミのパラドックスとは何か

 そもそもフェルミのパラドックスとは何か。名の由来は、原子炉の父として知られる物理学者エンリコ・フェルミだ。

 1950年、ロスアラモスでの昼食の席で空飛ぶ円盤の話題になった際、フェルミがふと「みんな、どこにいるんだ?」と口にしたという逸話が起源とされている。

 銀河には数えきれないほどの恒星があり、その多くが惑星を従えている。文明が生まれる確率がごくわずかだったとしても、絶対数が膨大なら地球外文明はいくつも成立しているはずだ。

 しかも自己増殖する探査機を放てば、光速に遠く及ばない速度でも数百万年程度で銀河系全体を巡れるという試算がある。宇宙の年齢からすれば一瞬に等しい時間だ。

 ならば銀河はとっくに誰かの探査機で埋め尽くされ、地球にもその痕跡があっていいはずだ。にもかかわらず、確たる証拠は一つも見つかっていない。この理屈と現実のねじれこそがフェルミのパラドックスである。

 説明の仮説は多い。文明は高度化する前に自滅するという「グレート・フィルター」説、人類は観察されているだけだとする「動物園仮説」、そして今回の計画が狙いを定めた「星間旅行はコストが高すぎて、どんな知的種族も本気でやろうとしない」という説だ。

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探査機1機で本当にパラドックスは解けるのか

 計画側の論理はこうだ。恒星間を渡る探査機が既存技術と20億円あまりで本当に作れると実証できたなら、「星間旅行は割に合わないから誰もやらない」という説明は成り立ちにくくなる。

 生まれたばかりの文明ですら手が届く程度のコストなら、宇宙は本来そうした探査機で満たされていなければおかしい。にもかかわらず空は静まり返っている。その落差を突きつけること自体が回答になる、というわけである。

 もっとも、この理屈にはかなり無理があるとの指摘も出ている。人類に建造可能だと示したところで、地球外文明が実在するかどうかの答えには一歩も近づかないからだ。

 さらに皮肉な問題もある。速度があまりに遅いため、今後より優れた推進技術が実用化されれば、後から出発した宇宙船に追い越される可能性が高い。7万7000年の旅路の途中で役目を終える探査機になりかねないのだ。

 それでも、この計画には抗いがたい引力がある。7万7000年後に人類がまだ存在しているかどうかすら、誰にも分からないのだから。

「みんな、どこにいるんだ?」というフェルミの問いに、人類は答えではなく、自ら一票を投じることで応えようとしている。2029年、その最初の一歩が本当に踏み出されるのか。答えが出るのは、そう遠い先の話ではない。

参考:Unexplained MysteriesIFLScience、ほか

TOCANA編集部

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