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「『みをつくし料理帖』映画化は神のご神託で決定した。真夜中に絶叫し…」角川春樹が神秘体験を暴露！災害とコロナ予言も！

2020.10.17 16:00 文＝白神じゅりこ

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◆伏見稲荷様のご利益を感じる最高傑作

――コロナ禍と第三次世界大戦の危機で社会不安が高まり、今、世の中が殺伐としていますよね。だからこそ今回、春樹さんが監督された「みをつくし料理帖」の人情味あふれる静かでありながら味わい深い映画を見るとほっといたします。これまでのお話しをうかがっていると、映画からどのような白狐のエネルギーが授かるのか楽しみです。

春樹　いやいや、それを期待しちゃ困るよね。この映画の主題歌をユーミン（松任谷由実）が作ってくれたんだ。ユーミンが撮影現場にご主人と一緒に来た時、私は彼女に「今回は、役者の人たちに伏見稲荷の白狐に入ってもらっている」という話をしたんだよ。すると、ユーミンは不思議がらずに「そうでしょ。だって角川さんにも入っているもの。耳がとんがって狐になっているわよ」って言ったんだ。

　その言葉を私はすごく鮮明に覚えていて、自分にも白狐が入っているのだと今回強く感じた。もともと妻に降りてきたお稲荷様のご神託に押される形で始まった映画だったということもあり、自分が作っているという感じではない。そして、映画に関しては、「スタッフ・キャストが一丸で作った」という表現はよくされるけれど、実際にはそういうことはないのですよ。だが、これまで映画を73本作ってきて初めて「一丸」に近いケースがこの作品だと思う。何か目に見えないものに導かれているのを感じたね。

――神がかり的な感じですか？

春樹　神がかりとも違うな。テリー伊藤さんと先日対談したのだが、「角川さんの本質の姿を感じた。全角川映画のなかで最も良い映画だ」という感想を言っていた。テリー伊藤さんとは今から15年前に私が製作した映画「男たちの大和／YAMATO」が公開された時に対談した。あの時、テリー伊藤さんは「角川映画で最も出来が良いのがこの作品だ」と絶賛してくれた。しかし、「今回の作品は『男たちの大和』を超える」と言っていたな。

「何の無理もなくて、なめらかで素の角川さんが感じられる映画」というテリー伊藤さんの感想がもっとも腑に落ちた。「だからこれを最後と言わないでほしい」ともテリー伊藤さんから言われたけれどね。

――本当に、これを最後とおっしゃらずにどんどん作っていただきたいです。おだやかでありながら非常に感動的でほっこりしながらも心揺り動かされる傑作ですね。

春樹　映画製作は力が入りすぎると、スタッフがきりきりとぎこちなくなる。今回はそういうことはなく、みんながアイデアを出し合って撮影したという感じです。監督である私の一挙一投足をじっと見ながら、どう動くべきかを役者もスタッフも考えて全力を出してくれたからこそ良い映画になったのだろう。それにしても、伏見稲荷はつくづく不思議な神社だなと感じるな。

――見れば、春樹さんのエネルギーもいただけて開運しそうですよね。見に行った人が幸せになる映画だと感じます。コロナ禍で人と人との繋がりが薄れている時だからこそ、人情の素晴らしさを改めて感じられる作品だと思います。

春樹　コロナもそうだが、今回、記録的な豪雨で九州に洪水被害が起こったが、洪水というキーワードもこの映画とリンクしているよね。

――主人公の澪は、大洪水で被災して大切なものをたくさん失いました。けれど、澪はさまざまな試練を乗り越えて懸命に運命を切り開き、やがて幸せをつかんでいきます。そのような澪の健気な姿がコロナ禍や自然災害で被害に合われた人たちの励みになるでしょう。そして、我々にこれから何が起きても立ち向かう勇気を与えてくれると感じます。今日は、本当にありがとうございました。