アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(3)―赤い火の玉を吹く半球形UFOとの遭遇

――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀り。アーノルド事件からCBA事件までを振り返る。

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(左)エドワード・J・ルッペルト大尉(画像は「Wikipedia」より)

 エドワード・J・ルッペルトによれば、プロジェクト・ブルーブックの業務量は8月半ばには通常に戻ったという。その矢先に起きたのが、フロリダ州エバーグレードで、ボーイスカウト団長がUFOに攻撃されるという奇妙な事件だった。

 それは、1952年8月19日夜のことだ。

 その日は、この地区で定例のボーイスカウト会合が開催されていた。

 じつはこの地区のボーイスカウトは数カ月前に結成されたばかりであり、その際、海兵隊上がりで金物屋の店員をしていたD・S・デスヴァージャーズが団長を買って出たのだった。

会合終了後、デスヴァージャーズは4人の団員を車で家まで送り届けることになった。

 最初の少年を自宅で降ろし、次の家に向かう途中、車内では近々地元で開催されるカーレースの話題になった。

 車内での会話が、ここ数日雨続きだったため、本当にレースが行われるかどうかわからないという方向に展開したことから、一行はまずレース場を視察し、それから南に向かう道路を辿った。運転中デスヴァージャーズは、左手の松林に、何かが光るのを見た。車を停めて、少年たちにも光を見なかったかと尋ねたが、誰も見ていなかった。

 そこでまた走り始めたところ、再び同じような光が見えた。それは、飛行機が茂みの中に墜落していくかのようにも思えた。今度は子供たちもそれを目撃したというので、デスヴァージャーズは道路脇に車を停め、林の中を見てくると子供たちに告げた。しかし、辺りはほとんど人通りのない場所である。子供たちは、自分たちだけが残されるのを嫌がった。そこでデスヴァージャーズは一旦車を発進させたが、飛行機が墜落したとしたらほっておけないと思い返して、現場に引き返した。

 目撃現場近くで車を停めた丁度そのとき、カーラジオからは、15分のラジオ番組が流れてきた。そこでデスヴァージャーズは少年たちに、番組が終わっても自分が戻らなかったら、途中通り過ぎた農家に助けを求めるよう言い残して外へ出た。

 鉈と懐中電灯とを手に林に入ったデスヴァージャーズは、まず変な匂いに気付いた。日が沈んだばかりの熱を持ったレンガ作りの建物の近くを歩くような暖かさも感じた。

 すぐに木のない開けた場所に着いた。すると、地上3メートルくらいの高さに奇妙な物体が浮いていた。

 形はボールを半分に切ったような形、つまり半球形で色はグレイ、直径は約9メートル、高さは3メートルくらいだった。上部は旋回砲塔のようなドームになっていて、周辺には30センチ程の間隔で歯車が並んでおり、その間にノズルのような小さな開口部があった。

 デスヴァージャーズが見ていると、突然上の砲塔のような部分から、赤い火の玉が飛び出し、辺りには赤い霧が立ちこめた。霧に包まれたデスヴァージャーズは手に持っていた鉈と懐中電灯を取り落とし、そのまま意識を失った。

 この光景は、車に残っていた少年たちも目撃した。

 デスヴァージャーズが、大きくて赤い火の玉に包まれ、倒れる様子を見た少年たちは、車から飛び出して途中通った農家に助けを求めた。

 農夫がフロリダのハイウェイパトロールに電話すると数分後保安官代理と警官が到着し、少年たちを乗せて現場に向かった。

 彼らが到着すると、正気に戻ったデスヴァージャーズが林から出てきた。その腕と手の甲は赤く火傷しており、帽子にも焦げ痕があった。

 ルッペルトは事件の翌日、20日朝に事件の報告を受け、ただちにフロリダを訪れた。ルッペルトのチームはデスヴァージャーズや少年たちと面談し、さらに現地調査を行った。

 デスヴァージャーズの火傷の程度は軽く、ライターで炙っても同じような痕がつくと思われた。帽子の焦げ痕は、電気のスパークによるものと思われたが、現場の草には、地上に出た部分は何でもないのに、地下の根の部分だけが焦げているものもあった。

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火傷を見せるデスヴァージャーズと焦げた帽子(画像は「Saturday Night UFORIA」より)

 ルッペルトは当初、デスヴァージャーズの証言に疑いを持たなかったようだ。ところが22日になって、彼の過去の素行や経歴に疑問が浮上した。無許可離隊や自動車窃盗が原因で、数カ月前に海兵隊を除隊処分となっており、軍内の厚生施設に入っていたこともあったのだ。

 ルッペルトはただちにデスヴァージャーズを知る関係者から彼の過去を聴取し、彼がこのUFO話で儲けようとしていると疑ったようだ。ルッペルトは最終的に、この事件はでっち上げだと結論している。

 しかし奇妙なことにルッペルトは、3人の少年も事件を目撃していることや、土中の草の根が焦げていたという点に関しては詳しい説明を行っていない。

 なお、この事件は8月25日付『読売新聞』夕刊により、日本でも報道されている。

【羽仁礼UFO史連載】
第1回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(1) 
第2回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(2)
第3回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(1)
第4回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(2)
第5回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(1)
第6回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(2)
第7回:戦前に設計された円盤形航空機「ディスコプター」とは?
第8回:UFO=宇宙人の乗り物説は日本発祥だった!?
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第10回:1897年「オーロラ事件」は世界初のUFO墜落事件なのか?
第11回:謎に包まれた「アズテック事件」を解説(1)
第12回:謎に包まれた「アズテック事件」を解説(2)
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第14回:ナチスのUFO開発史ールーマニアの発明家アンリ・コアンダ(1)
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第16回:ナチスのUFO開発史ー円盤型航空機「V-7」は完成していた!?(3)
第17回:ナチスのUFO開発史ー円盤型航空機と南米ネオナチ思想の中心人物(4)
第18回:科学知識を総動員した「世界最高のUFO研究書」
第19回:米軍UFO調査機関「プロジェクト・サイン」とフォート・モンマスUFO事件
第20回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(1)
第21回:アメリカ空軍の極秘UFO研究「プロジェクト・ブルーブック」解説(2)

文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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