王が死んだらミツバチに報告せよ!? カラスが国を滅ぼす都市伝説から人質制度まで、今も続く英国王室の「9つの不気味な奇習と迷信」

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 世界中の注目を集め続ける英国王室。その華やかなイメージの裏には、合理ではとても説明しきれない奇妙な儀式や迷信が、今なお脈々と受け継がれている。

 王が死ねばミツバチにそれを告げ、カラスが去れば国が滅ぶと本気で信じる——。数百年途切れず続く伝統は、ときにオカルトめいた不気味さすら漂わせる。そんな英国王室の奇習を9つ紹介しよう。

呪術か迷信か——王室の命運を握る「生き物」たち

1. ロンドン塔のワタリガラス

 ロンドン塔には、古くから有名なワタリガラスが住んでいる。イギリスには「カラスがロンドン塔を去れば王室は崩壊する」という言い伝えがあり、これを本気で恐れた王室は、17世紀以来「カラス番」なる専門の役職まで設けている。任務は、常に最低6羽を塔に留めておくこと。国家の存亡がカラスの機嫌にかかっているとは、なんとも不安な話である。

2. ミツバチへの報告(テリング・ザ・ビーズ)

 最も不気味なのが、この「ミツバチに告げる」習わしだ。王族の誰かが亡くなったり結婚したりすると、王室お抱えの養蜂家が巣箱を一つひとつ叩いて回り、ハチにその知らせを伝えねばならない。

 背景にあるのは、ミツバチがこの世ならざる世界とつながるという古い信仰だ。慶弔をきちんと伝えておかなければ、王族かハチのどちらかに災いが降りかかる——そう信じられてきた。異界と交信する使者としてのハチ。まさにオカルトの領域である。

3. 白鳥の数え上げ(スワン・アッピング)

 英国君主は、建前上イギリス国内すべての白鳥を所有しているとされる。そのため900年前から続く「スワン・アッピング」では、王室の代表者がテムズ川をボートで上り下りし、見つけた白鳥をひたすら数えていく。国王が全白鳥のオーナーという発想も、それを毎年数える律儀さも、どこか童話めいて不思議だ。

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「身を守る」ためのルールが、なぜか物騒な件

4. 貝類は禁止

 王室の食卓では、貝類が原則禁じられている。アレルギーや食中毒のリスクが高く、君主の健康を守るための措置だという。もっとも、実際にはロブスターやカキに舌鼓を打つ王族も少なくないというから、ルールはあってないようなものらしい。

5. 四角いサンドイッチはご法度

 王室で出されるサンドイッチは、必ず丸く切らねばならない。尖った角を持つ食べ物は、その場にいる王族への「明白な脅威」と見なされ、なんと反逆罪に問われかねないというのだ。パンの角一つで大逆罪とは、警戒心も筋金入りである。

6. 議会からの「人質」

 君主が新会期を開くため議会へ向かう際、下院議員が1名、バッキンガム宮殿に人質として留め置かれる。かつて君主に不満を抱く議員が危害を加えないよう、いわば「保険」として人質を取ったのが起源とされる。物騒な慣習だが、これも現代まで律儀に続いている。

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700年途切れない儀式と、二つの誕生日

7. 鍵の儀式(セレモニー・オブ・ザ・キーズ)

 ロンドン塔の門は、毎晩きっかり午後9時53分に施錠される。しかもこれが過去700年間、一日も欠かさず続いているという。「そこにいるのは誰だ?」という衛兵の誰何に主任衛兵が応じるこの問答は、第二次世界大戦下のロンドン空襲のさなかでも中断されなかった。世界でも類を見ないほど長く途切れずに続く儀式の一つである。

8. 君主の誕生日は「二つ」ある

 英国君主には、実際の誕生日と「公式」の誕生日、二つの誕生日がある。公式の方は1000名超の兵士が行進する軍事パレードで祝われる。きっかけは、11月生まれのエドワード7世が寒い季節の祝賀を嫌い、夏らしい祝いを望んだこと。王のわがままが、そのまま伝統になった格好だ。

9. クリスマスの体重測定

 そのエドワード7世が始めたもう一つの妙な習わしがこれ。王室のクリスマス晩餐では、招待客が食事の前後に体重を量られる。全員がしっかり食べたかを確認するためで、理想は3ポンド(約1.4キロ)増えていること。「たらふく食べたか」を体重計で証明させられるとは、もてなしにも程がある。

 華やかな王冠の陰で、王が死ねばハチに囁き、カラスの機嫌をうかがい、川の白鳥を一羽残らず数える——。

 近代国家の中心にありながら、これほど古い迷信と呪術的な感覚を手放さずにいる組織も珍しい。合理では割り切れないものを、あえて割り切らずに抱え続ける。その頑固さこそが、千年の王室を今日まで存えさせてきた「魔法」なのかもしれない。

参考:Oddee、ほか

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